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2025.11.14

BIMコーディネーターになるための必要な資格とは|種類や難易度を紹介

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建設業界のデジタル化が進む中、BIMコーディネーターへの需要が高まっています。

この職種を目指すには、どのような資格が必要なのでしょうか。

本記事では、BIMコーディネーターの役割から、取得すべき資格の種類と難易度、よくある質問まで詳しく解説します。

キャリアアップを目指す方は必見です。

 

BIMコーディネーターとは

 

BIMコーディネーターとは、建築プロジェクトにおいてBIMの円滑な運用を支援する専門職です。

BIMは3次元モデルに建物の属性情報を統合し、設計から施工、維持管理まで一元管理できるシステムで、建設業界のデジタル化において中心的な役割を果たしています。

BIMコーディネーターは、このBIM技術を活用したプロジェクト運営において、設計者や施工者など多様な関係者間の調整役を担います。

BIMソフトウェアの操作スキルはもちろん、建築に関する基礎知識やコミュニケーション能力も求められる職種です。

近年、国土交通省がBIM/CIMの活用を推進していることもあり、建設業界における需要が高まっています。

具体的には、BIMモデルの作成補助、データの整合性確認、関係者間の情報共有サポートなど、プロジェクト全体のBIM活用を技術面・運用面の両方から支える存在となります。

 

出典:国土交通省「建築BIM推進会議・部会・WGについて

 

BIMコーディネーターの役割

 

BIMコーディネーターには、プロジェクトにおけるBIM活用を成功させるための多岐にわたる役割があります。

ここでは主要な3つの役割について詳しく解説します。

 

BIM環境の整備

 

BIMコーディネーターの重要な役割の1つが、プロジェクトで使用するBIM環境の整備です。

これには、BIMソフトウェアの選定から導入、設定までが含まれます。

プロジェクトの規模や特性に応じて、RevitやArchicadなどの適切なBIMツールを選択し、テンプレートやライブラリの構築を行います。

また、BIMモデルの品質を保つためのチェック体制の構築や、データ交換のための標準フォーマットの設定も重要な業務です。

これらの環境整備により、プロジェクトメンバーが効率的にBIMを活用できる基盤を作り上げます。

 

BIM活用の支援

 

BIMコーディネーターは、プロジェクトメンバーがBIMを効果的に活用できるよう、日常的な支援を提供します。

BIMツールの操作方法に関する質問対応や、トラブルシューティングはこの役割の中核をなします。

設計者や施工担当者がBIMモデルを作成・編集する際のサポートを行い、必要に応じて技術的なアドバイスを提供します。

また、BIMの新機能や効率的なワークフローについての情報共有も積極的に行い、チーム全体のスキル向上を図ります。

さらに、異なる専門分野間でのデータ連携をスムーズにするため、モデルの統合や干渉チェックの実施も担当します。

こうした支援活動を通じて、プロジェクト全体のBIM活用レベルを底上げしていきます。

 

プロジェクト管理の補助

 

BIMコーディネーターは、BIMマネージャーを補佐しながらプロジェクト管理にも関わります。

BIMモデルのバージョン管理や更新履歴の記録を行い、常に最新の情報が共有されるよう管理します。

プロジェクトの進捗に応じて、BIMモデルから数量算出や図面作成を行い、関係者への情報提供をサポートします。

また、定例会議用の資料作成や、BIMモデルを活用したプレゼンテーション準備なども担当することがあります。

さらに、BIM実行計画に基づいた運用が適切に行われているかをモニタリングし、問題があれば改善提案を行います。

このようにプロジェクト管理を技術面から支えることで、スムーズなプロジェクト推進に貢献するのです。

 

BIM資格の概要と難易度

 

BIMコーディネーターとしてのスキルを証明するには、各種BIM関連資格の取得が有効です。

ここでは代表的な4つの資格について、その概要と難易度を紹介します。

 

Archicad BIM User 認定試験

 

Archicad BIM User 認定試験は、グラフィソフト社が提供するBIMソフト「Archicad」の基本操作スキルを証明する資格です。

この試験では、Archicadを使用した基本的なモデリング技術や図面作成能力が問われます。

難易度は比較的初級レベルで、Archicadの基本操作を習得していれば合格可能です。

BIM初心者がスキルを証明する最初のステップとして適しており、実務経験が浅い方でもしっかり準備すれば取得できる資格と言えます。

受験資格に制限はなく、誰でもチャレンジできる点も特徴です。

 

・対象となるレベル:BIMの基本的なコンセプトを理解し、Archicadの基本機能と特性を使用できるユーザー

・構成:理論問題 20問

・制限時間:30分間

・言語:日本語

・合格スコア:70%

・前提条件:この試験の前提条件はありません。

 

出典:GRAPHISOFT「Archicad BIM 認定試験

 

Revit Architecture ユーザー試験

 

Revit Architecture ユーザー試験は、Autodesk社の代表的なBIMソフト「Revit」の操作スキルを認定する資格です。

Revitは世界中で広く使用されているBIMツールのため、この資格は国際的にも認知度が高く、就職・転職時のアピール材料として有効です。

難易度は中級レベルで、Revitの基本操作に加えて、実際のプロジェクトでの活用経験があると有利です。

試験時間は限られているため、効率的な操作方法を身につけておく必要があります。

 

・問題数:30問

・出題形式:選択式 + 実技操作

・試験時間:50分

・合格ライン:73 パーセント以上の正解率

 

出典:AUTODESK「Revit Architecture ユーザー

 

BIM プロジェクトインフォメーション資格(ISO-19650-2)

 

BIM プロジェクトインフォメーション資格は、国際規格ISO-19650-2に基づいたBIMプロジェクト管理の知識を証明する資格です。

この資格は特定のソフトウェアに依存せず、BIMプロジェクトの情報管理手法全般を対象としています。

ISO-19650-2は、建設プロジェクトにおける情報管理の国際標準であり、この規格に準拠した情報管理プロセスの理解が試験範囲です。

難易度は中級から上級レベルで、BIMの技術的スキルだけでなく、プロジェクトマネジメントやデータ管理に関する包括的な理解が必要です。

実務経験がある程度あり、プロジェクト全体を俯瞰できる視点を持った方に適した資格と言えます。

 

出典:BSI Group「BIM研修と資格

出典:BSI Group「BSIジャパン、デジタル化が進む建設業界で役立つBIM専門知識を証明する個人資格「BIM資格」の提供を開始

 

BIMアセットインフォメーション資格 (ISO-19650-3)

 

BIMアセットインフォメーション資格は、ISO-19650-3に基づき、建物の運用・維持管理段階におけるBIM情報管理の知識を認定する資格です。

設計・施工段階だけでなく、竣工後の建物ライフサイクル全体を見据えた情報管理が求められます。

難易度は上級レベルで、BIMプロジェクトの経験に加えて、ファシリティマネジメントや建物の運用に関する知識も必要です。

建物のライフサイクル全体を通じた情報管理という高度な概念を理解し、実践できる能力が求められます。

キャリアアップを目指すBIM専門家にとって価値の高い資格です。

 

出典:BSI Group「BIM研修及びBSI資格取得課程のご案内

 

BIMコーディネーターに関するよくある質問

 

ここでは、BIMコーディネーターに関するよくある質問について回答します。

 

BIMの実務に資格は必須?

 

BIMの実務を行うために資格は必須ではありません。

実際、資格を持たずに実務でBIMを活用している専門家も多数存在します。

重要なのは、BIMソフトウェアを適切に操作できるスキルと、プロジェクトで求められる成果物を作成できる能力です。

 

BIM資格を取得するメリットは?

 

BIM資格を取得する最大のメリットは、専門性の証明と信頼性の向上です。

建設業界では、BIMスキルを持つ人材への需要が高まっており、資格保有者は市場価値が上がる傾向にあります。

具体的なメリットとしては、まず就職・転職時のアピール材料になることが挙げられます。

履歴書や職務経歴書に資格を記載することで、採用担当者に対して具体的なスキルレベルを示すことができます。

また、社内での評価向上やキャリアアップにもつながり、昇給や昇進のきっかけとなるでしょう。

 

BIMマネージャーとBIMコーディネーターの違いは?

 

BIMマネージャーとBIMコーディネーターは、役割と責任範囲が大きく異なります。

BIMマネージャーは、プロジェクト全体のBIM戦略を統括する上位職で、BIM実行計画の策定、プロジェクト全体のBIM運用方針の決定、組織のBIM標準化推進などを担当します。

一方、BIMコーディネーターは、BIMマネージャーの指示のもと、実務レベルでのBIM運用支援を行う職種です。

具体的には、日々のBIMモデル作成支援、技術的な問題解決、チームメンバーへの操作指導など、現場に密着した業務を担当します。

 

CADオペレーターはBIMコーディネーターを目指せる?

 

CADオペレーターからBIMコーディネーターへのキャリアチェンジは十分に可能です。

CADでの図面作成経験や建築知識は、BIM業務でも大きく活かせます。

ただし、CADが2次元の線を扱うのに対し、BIMは3次元オブジェクトと属性情報を統合管理する点が異なります。

BIMソフトウェアの操作スキルを習得し、関連資格を取得することで、スキルの証明とキャリアチェンジがスムーズになるでしょう。

 

まとめ

 

BIMコーディネーターは、建設プロジェクトにおけるBIM活用を支援する専門職で、環境整備や技術支援、プロジェクト管理補助など多岐にわたる役割を担います。

資格は必須ではありませんが、Archicad認定試験やRevit試験、ISO規格に基づく資格などを取得することで、スキルの証明とキャリアアップに大きく役立ちます。

CADオペレーターからのキャリアチェンジも可能で、建設業界のデジタル化が進む中、今後ますます需要が高まる職種です。

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