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2025.05.15

【2025年度版】一級建築士の大学別合格者数一覧!合格者発表までの流れも徹底解説

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一級建築士は、建築業界で最も権威のある資格です。

一級建築士資格の取得は、建築キャリアにおける大きな転機となります。

本記事では、2025年度の一級建築士試験における大学別合格者数や合格者発表までの流れを徹底解説します。

これから受験を考えている方や、建築業界の動向に興味がある方にとって、貴重な情報源となるでしょう。

 

 

一級建築士になるための試験

 

一級建築士になるためには、「学科の試験」と「設計製図の試験」の両方に合格する必要があります。

この二段階方式は、建築の理論的知識と実践的なスキルの両方を評価するためのものです。

 

 

学科の試験

 

学科試験は例年7月に実施され、建築に関する幅広い知識を問う内容となっています。

試験は、学科Ⅰ「計画」、学科Ⅱ「環境・設備」、学科Ⅲ「法規」、学科Ⅳ「構造」、学科Ⅴ「施工」の5科目です。

試験形式は4択のマークシート方式で、合計125問が出題されます。

合格基準は各科目の得点が一定以上であることに加え、総得点も基準点を超える必要があります。

試験時間は計6時間30分で、朝から夕方までかかる長丁場の試験です。

学科試験の難易度は非常に高く、建築学を専門的に学んだ方でも、十分な準備期間と効率的な学習計画が必要とされます。

特に、実務経験が少ない方は、法規や施工など実務に直結する分野で苦戦することが多いでしょう。

 

出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「令和7年一級建築士試験案内

 

設計製図の試験

 

学科試験に合格した後、10月に実施される設計製図試験に進むことができます。

この試験では、与えられた条件に基づいて建築物の設計図を作成します。

試験時間は6時間30分と長時間に及び、制限時間内に要求される全ての設計要素を含む図面を完成させる必要があるのです。

設計製図試験の特徴として、単に美しい建築を設計するだけではなく、法規制への準拠、構造的な安全性、機能性、そして経済性などを総合的に考慮した設計が求められます。

 

直近5年間の一級建築士試験結果

 

一級建築士試験の傾向を理解するためには、過去のデータを分析することが不可欠です。

直近5年間の試験結果を詳しく見ていきましょう。

 

 

受験者数・合格者数・合格率について

 

過去5年間の一級建築士試験の受験者数、合格者数、そして合格率の推移は以下の通りです。

 

年度 受験者数 合格者数 総合合格率
学科の試験 設計製図の試験 学科の試験 設計製図の試験
2024年 28,067人 11,306人 6,531人 3,010人 8.8%
2023年 28,118人 10,238人 4,562人 3,401人 9.9%
2022年 30,007人 10,509人 6,289人 3,473人 9.9%
2021年 31,696人 10,499人 4,832人 3,765人 9.9%
2020年 30,409人 11,035人 6,295人 3,796人 10.6%

 

一級建築士試験の総合合格率は例年10%前後で推移しており、試験の難易度の高さが分かります。

 

出典:国土交通省「令和6年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者を決定

 

学科の試験科目

 

学科の試験科目と出題数を見ていきましょう。

 

試験科目 出題数
学科Ⅰ「計画」 20問
学科Ⅱ「環境・設備」 20問
学科Ⅲ「法規」 30問
学科Ⅳ「構造」 30問
学科Ⅴ「施工」 25問

 

近年の出題傾向としては、単純な知識を問う問題だけでなく、実務での判断力や応用力を試す問題が増えています。

特に、建築基準法の改正点や最新の環境技術、建築設備の効率化など、時代の変化に対応した内容が重視されるようになっています。

 

出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「出題科目、出題数等

 

設計製図の試験の課題について

 

設計製図試験の課題は毎年変わりますが、基本的には公共性の高い建築物や複合施設の設計が求められることが多いです。

過去5年間の課題を以下にまとめました。

 

年度 課題
2024年 大学
2023年 図書館
2022年 事務所ビル
2021年 集合住宅
2020年 高齢者介護施設

 

設計製図の試験では、限られた時間内で効率的に作業を進める能力が試されています。

 

出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「(2)設計製図の試験の課題

 

一級建築士「学科の試験」合格者の内訳

 

学科の試験の合格者内訳を様々な角度から分析することで、どのような人が合格しているのか、また自分の立ち位置を知る参考になります。

 

出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「試験合格者の主な属性

 

学歴・資格別

 

学歴・資格別の合格者内訳は以下の通りです。

 

区分 割合
大学 67.4%
二級建築士 20.7%
専修学校 6.6%
建築設備士 1.3%
その他 4.0%

 

職務内容別

 

職務内容別の合格者内訳は、以下の通りです。

 

区分 割合
建築設計 39.3%
施工管理・現場管理 21.3%
構造設計 6.0%
工事監理 5.0%
学生・研究生 5.0%
その他 23.4%

 

職域別

 

職域別の合格者内訳は、以下の通りです。

 

区分 割合
建築士事務所 26.9%
建設業 35.4%
官公庁等 6.1%
住宅メーカー 14.7%
学生・研究生 5.3%
その他 11.6%

 

男女別

 

男女別の合格者内訳は、以下の通りです。

 

区分 割合
男性 70.2%
女性 29.8%

 

年齢別

 

年齢別の合格者内訳は、以下の通りです。

 

区分 割合
23歳以下 16.0%
24~26歳 29.0%
27~29歳 16.2%
30~34歳 15.2%
35~39歳 8.7%
40歳以上 14.9%

 

一級建築士「設計製図の試験」合格者の内訳

 

設計製図の試験の合格者内訳についても詳しく見ていきましょう。

 

出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「試験合格者の主な属性

 

学歴・資格別

 

学歴・資格別の合格者内訳は以下の通りです。

 

区分 割合
大学 74.6%
二級建築士 15.8%
専修学校 5.0%
建築設備士 1.1%
その他 3.5%

 

職務内容別

 

職務内容別の合格者内訳は、以下の通りです。

 

区分 割合
建築設計 38.0%
施工管理・現場管理 20.4%
構造設計 8.8%
工事監理 4.9%
行政 4.7%
その他 23.2%

 

職域別

 

職域別の合格者内訳は、以下の通りです。

 

区分 割合
建築士事務所 26.9%
建設業 37.5%
官公庁等 6.2%
住宅メーカー 14.1%
不動産業 4.4%
その他 10.9%

 

男女別

 

男女別の合格者内訳は、以下の通りです。

 

区分 割合
男性 69.3%
女性 30.7%

 

年齢別

 

年齢別の合格者内訳は、以下の通りです。

 

区分 割合
23歳以下 12.1%
24~26歳 33.9%
27~29歳 21.7%
30~34歳 16.9%
35~39歳 7.4%
40歳以上 8.1%

 

大学別

 

大学別の合格者内訳は、以下の通りです。

 

学校名 合格者数 学校名 合格者数 学校名 合格者数
日本大学 142人 京都建築大学校 27人 日本女子大学 15人
東京理科大学 103人 金沢工業大学 27人 北海道科学大学 14人
近畿大学 92人 三重大学 27人 北九州市立大学 14人
芝浦工業大学 84人 東京都立大学(首都大学東京) 27人 愛知産業大学 13人
早稲田大学 66人 横浜国立大学 26人 佐賀大学 13人
工学院大学 61人 大阪大学 26人 東北工業大学 13人
神戸大学 54人 東北大学 25人 福井大学 13人
明治大学 52人 立命館大学 25人 宇都宮大学 12人
名古屋工業大学 45人 広島大学 23人 前橋工科大学 12人
法政大学 43人 愛知工業大学 22人 大阪工業技術専門学校 12人
京都大学 42人 北海道大学 22人 中央工学校 12人
名城大学 41人 神奈川大学 20人 東海工業専門学校金山校 12人
関西大学 40人 広島工業大学 19人 武庫川女子大学 12人
九州大学(九州芸術工科大学) 39人 青山製図専門学校 19人 山口大学 11人
東京都市大学(武蔵工業大学) 38人 名古屋大学 19人 修成建設専門学校 11人
京都工芸繊維大学 37人 大分大学 18人 仙台高等専門学校 11人
東海大学 37人 福岡大学 18人 関東学院大学 10人
大阪工業大学 34人 摂南大学 17人 岐阜工業高等専門学校 10人
東京大学 32人 慶應義塾大学 16人 九州工業大学 10人
千葉大学 31人 鹿児島大学 16人 公立大学法人名古屋市立大学 10人
東京科学大学(東京工業大学) 31人 新潟大学 16人 秋田県立大学 10人
東洋大学 31人 日本工業大学 16人 奈良女子大学 10人
東京電機大学 30人 熊本大学 15人 豊橋技術科学大学 10人
信州大学 29人 室蘭工業大学 15人 琉球大学 10人
大阪市立大学 28人 千葉工業大学 15人

 

合格者発表までの流れ

 

一級建築士試験の合格までには、一定の流れがあります。

この章では、学科の試験から受験する場合と、すでに学科の試験に合格して設計製図の試験から受験する場合の両方について説明します。

 

 

「学科の試験」から受験する場合

 

「学科の試験」から受験する場合の合格者発表までの流れは、以下の通りです。

 

①受験申し込み

 

一級建築士試験の受験申し込みは、例年4月頃に行われます。

申し込みには受験資格を証明する書類(卒業証明書や二級建築士免許証明書など)の提出が必要です。

申し込みはオンラインで行うことが可能で、受験手数料は17,000円となっています。

 

出典:公益財団法人 建築技術教育普及センター「初めて受験申込する方が準備するもの

 

②受験資格の判定・受験資格者の確定

 

提出された書類を基に、受験資格の有無が判定されます。

資格審査の結果は6月上旬頃に通知され、合わせて受験票が送付されます。

 

③「学科の試験」を実施

 

学科の試験は、7月の第4日曜日に全国の試験会場で一斉に実施されます。

 

④「学科の試験」の合格者を発表

 

学科の試験の結果は、9月上旬に発表されます。

合格者には設計製図試験の受験票が送付されます。

不合格者には成績通知書が送付され、次年度の参考にすることができます。

 

⑤「設計製図の試験」を実施

 

学科試験に合格した受験者は、10月の第2日曜日に設計製図の試験を受験します。

試験時間は6時間30分で、試験では専用の用紙に手書きで設計図を作成することが求められます。

 

⑥合格者発表

 

最終的な合格者発表は12月下旬に行われます。

合格者には合格証書が送付され、一級建築士として登録する権利を得ることができます。

登録は合格後の任意の時期に行うことができますが、登録しなければ一級建築士を名乗ることはできません。

 

「設計製図の試験」から受験する場合

 

過去に学科の試験に合格しているが設計製図の試験に不合格だった場合、または、学科試験の合格が有効な期間内(合格した年を含めて5年間)である場合は、設計製図の試験からの受験が可能です。

 

①受験申し込み

 

設計製図の試験のみを受験する場合も、申し込みは4月頃に行います。

 

②「設計製図の試験」を実施

 

設計製図の試験は、10月の第2日曜日に実施されます。

試験内容や時間は、学科試験から受験する場合と同様です。

 

③合格者発表

 

合格者発表は12月下旬に行われます。

結果通知や登録手続きも、学科試験から受験する場合と同様です。

 

まとめ

 

一級建築士試験は合格率が10%前後で難易度が非常に高いです。

しかし、適切な準備と効率的な学習計画を立てることで、合格の可能性は十分にあります。

一級建築士試験は、建築系大学出身で設計業務に従事している20代の受験者が最も高い合格率を示しています。

一方で、様々な学歴や職業背景を持つ受験者も合格していることから、自分の強みを活かした対策を立てることが重要です。

また、大学別の合格者数内訳を見ると、旧帝大や有名私立大学の建築学科が上位を占めていますが、それ以外の大学からも多くの合格者が輩出されています。

大学のカリキュラムや先輩からのアドバイスを活用することも、合格への近道となるでしょう。

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