
建築業界のリアルな情報や就職・転職活動で役立つ情報を紹介します。
2025.05.15
建築に使える画像生成AIおすすめ5選を徹底解説!

近年、AI技術の急速な発展により、様々な分野でAIツールが活用されるようになりました。
建築分野においても、画像生成AIの導入が進み、設計プロセスや提案方法に革命をもたらしています。
本記事では、建築に特に有用な画像生成AIについて詳しく解説し、おすすめのツールを5つ紹介します。
建築事務所や設計者だけでなく、建築を学ぶ学生や建築に興味のある方にとっても役立つ内容になっているため、ぜひ参考にしてください。
画像生成AIとは
画像生成AIとは、人工知能技術を用いて、テキストプロンプト(指示文)から新しい画像を作り出すシステムです。
これらのAIは膨大な画像データを学習し、それを基に新しいビジュアルを生成する能力を持っています。
特に近年の技術進歩により、建築パースやインテリアデザイン、外観イメージなど、建築分野で必要とされる高品質な画像を短時間で生成できるようになりました。
画像生成AIの基本的な仕組みは、大量の画像データと、それに対応するテキスト情報を学習した大規模言語モデル(LLM)を基盤としています。
ユーザーが「モダンな木造住宅、大きな窓、自然光が入る、ミニマルデザイン」といったテキストプロンプトを入力すると、AIはこれらのキーワードを理解し、学習データから関連する特徴を組み合わせて新しい画像を生成するのです。
建築分野では特に、このようなAIツールによって、従来は時間と専門的スキルを要していた建築パースやコンセプト画像の作成が、格段に効率化されています。
しかも、テキストプロンプトを微調整するだけで、異なるバリエーションの画像を次々と生成できるため、デザインの可能性を広げる強力なツールとなっています。
建築分野で画像生成AIを使うメリット
建築分野で画像生成AIを使う主なメリットは、以下の3つです。
・短時間で多くのデザインを出力できる
・脳内にあるイメージを具現化できる
・クライアントとのやり取りがスムーズになる
画像生成AIを使えば、業務を効率化できます。
短時間で多くのデザインを出力できる
画像生成AIのメリットの1つは、驚異的な速さでデザインのバリエーションを生成できることです。
従来の建築パース制作では、1つの案を視覚化するだけでも数時間から数日を要することがありました。
しかし、画像生成AIを使えば、数分〜数十分で複数のデザイン案を生成できます。
この時間短縮は、特に設計の初期段階で大きな価値を発揮します。
例えば、クライアントとの初回ミーティング後すぐに複数のコンセプト案を視覚化し、次回の打ち合わせまでに多様なオプションを準備できるようになるのです。
脳内にあるイメージを具現化できる
建築家や設計者にとって、脳内にあるイメージを他者に伝えることは重要です。
画像生成AIは、テキストプロンプトを通じて、建築家の頭の中にあるイメージを視覚的に表現することを可能にします。
例えば、「和モダンの要素を取り入れた、自然光が豊かな開放的なリビングスペース、木材と石材のコントラスト」といった言葉による説明を、具体的な視覚イメージに変換可能です。
このプロセスは、設計者自身のアイデアを明確化するのにも役立ち、時には自分でも気づかなかった新しい発想や可能性を発見することもあります。
また、建築学生や経験の浅いデザイナーにとっては、自分のデザイン言語を発展させるための強力なツールとなるでしょう。
AIが生成した画像を分析し、自分の意図した要素がどのように視覚化されるかを学ぶことで、デザインの理解を深めることができます。
クライアントとのやり取りがスムーズになる
建築プロジェクトにおいて、クライアントとのコミュニケーションは成功の鍵を握ります。
しかし、専門的な図面や技術的な説明だけでは、専門家でないクライアントがデザインを完全に理解することは難しいものです。
画像生成AIを活用すれば、プロジェクトの早い段階からリアルなビジュアルを提供でき、クライアントはより具体的にデザインをイメージできるようになります。
これにより、「もう少し明るい印象にしたい」「この部分をもっと開放的に」といったフィードバックを即座に反映した新しい画像を生成することも可能です。
画像生成AIを活用することで、クライアントの要望と設計者のビジョンのすり合わせがスムーズになり、プロジェクトの進行が加速します。
また、クライアントの満足度も向上し、設計変更や手戻りが減少することで、全体的なプロジェクト効率が高まるのです。
建築分野で画像生成AIを使うデメリット
建築分野で画像生成AIを使う主なデメリットは、以下の3つです。
・細部を調整するのが難しい
・ノイズや歪みが発生することがある
・クライアントに合わせて微調整する必要がある
デメリットを把握した上で、画像生成AIを使いましょう。
細部を調整するのが難しい
画像生成AIは、全体的なイメージやコンセプトの視覚化に優れていますが、建築で重要となる細部の正確な表現や調整においては限界があります。
例えば、特定の建築ディテール(特殊な接合部や装飾など)を正確に表現させようとしても、AIはその詳細を完全に理解しているわけではありません。
そのため、意図通りの結果を得られないことがあります。
また、「この窓を10cm広げる」「壁の厚みを調整する」といった精密な修正指示にも対応しきれません。
さらに、構造的に成立するかどうかの判断もAIには難しく、見た目は魅力的でも実際には建設できない、あるいは法規制に適合しない建築物の画像が生成されることもあります。
画像生成AIは初期のコンセプト検討やプレゼンテーション用の視覚資料としては有用です。
しかし、詳細設計や実施設計の段階では従来のCADや3Dモデリングソフトウェアの方が適しています。
ノイズや歪みが発生することがある
画像生成AIが生成する画像には、時として不自然なノイズや歪みが含まれることがあります。
特に、建築物のような幾何学的に正確さが求められる対象では、このような不完全さが目立ちやすくなるのです。
具体的には、以下のような問題が見られます。
・直線や角度の歪み(完全に垂直・水平であるべき線が微妙に曲がる)
・窓や扉などの繰り返し要素の不一致
・素材のテクスチャの不自然な繋がり
・奇妙な影や反射
・遠近法や縮尺の不整合
ノイズや歪みなどの問題は、特に建築プレゼンテーションにおいて致命的となります。
クライアントや関係者が不自然さに違和感を覚え、提案自体の信頼性が損なわれる可能性があるためです。
現状では、高品質な画像を得るためには、生成後に画像編集ソフトウェアを使って修正を加える必要があることも多く、これが追加の作業工程となります。
ただし、AI技術は急速に進化しており、これらの問題は徐々に改善されるでしょう。
クライアントに合わせて微調整する必要がある
画像生成AIは多様な画像を生成できますが、特定のクライアントの好みや要望に完全に合致した画像を一度で生成することは難しい場合があります。
建築プロジェクトでは、クライアントごとに異なる要望があり、それを的確に反映させるには、テキストプロンプトの試行錯誤と微調整が必要です。
例えば、「モダン」や「エレガント」といった主観的な表現は、人によって解釈が異なります。
クライアントが思い描く「モダン」と、AIが生成する「モダン」な建築イメージにはギャップが生じることがあるのです。
このギャップを埋めるには、クライアントからのフィードバックを基に何度もテキストプロンプトを調整し、期待に近づけていく作業が不可欠です。
また、企業クライアントの場合、ブランドイメージとの一貫性が求められることが多く、その企業特有のデザイン言語をAIに理解させることも容易ではありません。
結果として、AIが生成した初期案をベースに、デザイナーが手作業で微調整を加えるというハイブリッドなアプローチが現実的な解決策となっています。
このように、画像生成AIは強力なツールではあるものの、クライアントとの関係構築や要望の理解といった人間的な側面を完全に代替するものではありません。
建築に使える画像生成AIおすすめ5選
建築に使える画像生成AIおすすめ5選は、以下の通りです。
1.Recraft
2.Ideogram
3.Imagen 3
4.DALL•E 3
5.Adobe Firefly
それでは1つずつ特徴を見ていきましょう。
Recraft
Recraftは、建築やインテリアデザインに特化した機能を持つ画像生成AIで、特に建築分野のプロフェッショナルから高い評価を得ています。
【主な特徴】
・建築およびインテリアデザイン専用のトレーニングデータを使用
・建築材料や空間の質感を現実的に表現する能力が高い
・3Dレンダリング風の画像生成が得意
・建築家やデザイナー向けのシンプルなインターフェース
・バッチ処理機能で複数のバリエーションを同時に作成可能
Recraftの強みは、建築特有の表現力にあります。
コンクリート、木材、ガラスなどの建築材料の質感表現が優れており、光の当たり方や空間の奥行きも自然に再現可能です。
また、「北欧風インテリア」「ミニマリスト住宅」といった建築様式を指定した場合の解釈精度も高く、業界専門家のニーズに応える結果を提供します。
価格面では、無料プランでも月に限定数の画像生成が可能ですが、プロフェッショナルな利用には月額サブスクリプションがおすすめです。
Recraftは、多数のプロジェクトを手がける中小規模の建築事務所にとって、コストパフォーマンスの高いツールといえるでしょう。
出典:Recraft公式サイト
Ideogram
Ideogramは、アーティスティックな表現力に優れた画像生成AIで、創造的な建築コンセプトの視覚化に特に適しています。
【主な特徴】
・芸術性の高い画像生成が得意
・建築の概念設計やコンセプトアートに最適
・独創的かつ未来的なデザインの生成が得意
・テキストの組み込みが正確(サイン、説明文などの表示)
・スタイル転送機能で既存建築物の特徴を新デザインに応用可能
Ideogramの最大の魅力は、従来の建築の枠にとらわれない創造的なビジュアルを生成できる点です。
特にコンペティションエントリーや実験的な建築提案など、斬新なアイデアが求められる場面で真価を発揮します。
また、テキストプロンプトに対する柔軟な解釈力があり、「水と光が織りなす持続可能な都市空間」といった抽象的な概念からも魅力的なビジュアルを創出可能です。
技術的には、解像度の調整や画像の縦横比の自由な設定など、プレゼンテーション資料作成に便利な機能を備えています。
Imagen 3
Googleが開発したImagen 3は、精密さと現実感を両立した高品質な建築イメージの生成に優れています。
【主な特徴】
・非常に高い画像解像度と詳細表現
・複雑な建築構造の正確な描写が可能
・自然光や影の処理が特に優れている
・複数の建物や環境を含む広範囲のシーン生成に強い
Imagen 3の最大の強みは、その精密な描写能力です。
複雑なファサードデザインや装飾的な建築要素も、歪みや不自然さが少なく生成できます。
また、都市景観や建築物と周囲の環境との関係性を表現するシーンでも高いパフォーマンスを発揮します。
特に実務での活用価値が高いのが、生成した画像の一貫性です。
同じテキストプロンプトから複数の視点やアングルでの画像を生成する場合でも、建築デザインの一貫性が保たれるため、プレゼンテーション資料としての信頼性が高まります。
Imagen 3は、大規模な建築事務所や企業での導入に適しており、社内システムやワークフローへの統合も容易です。
出典:Imagen公式サイト
DALL•E 3
OpenAIが開発したDALL•E 3は、直感的なテキストプロンプト理解力と高い創造性で注目を集めている画像生成AIです。
【主な特徴】
・建築要素の組み合わせや変換が得意
・様々な建築様式の特徴を正確に反映
・ChatGPTとの連携による対話形式での画像生成が可能
DALL•E 3の最大の特徴は、複雑なテキストプロンプトからでも意図に近い結果を生成する能力です。
「1920年代のアールデコ様式を現代的に解釈した、持続可能性を重視した高層オフィスビル」といった複合的な指示にも対応し、イメージ通りの建築ビジュアルを創出します。
また、ChatGPTとの統合により、対話形式で徐々に画像をブラッシュアップできるため、デザインの試行錯誤プロセスがスムーズです。
「もう少し窓を大きくして」「屋上にガーデンスペースを追加して」といった指示を会話の流れで伝えられるのは大きなメリットです。
価格面では、サブスクリプションベースのモデルを採用しており、個人から中規模の事務所まで幅広いユーザーに対応しています。
Adobe Firefly
Adobe社が開発したFireflyは、既存のAdobe製品との連携性に優れ、プロフェッショナルなワークフローに組み込みやすい画像生成AIです。
【主な特徴】
・Adobe製品との親和性がある
・建築パースの編集・加工が非常にスムーズ
・著作権リスクが低い学習データを使用
・スタイル参照機能で特定の建築家やデザイナーの作風を参考に生成可能
・ベクター形式での出力にも対応
Fireflyの最大の強みは、Photoshop、Illustrator、InDesignといったAdobe製品との親和性です。
生成した建築イメージを直接これらのソフトウェアで編集できるため、AIが生成した初期案をベースに、プロフェッショナルな仕上げを施せます。
また、商用利用を前提とした学習データ選定がなされているため、著作権問題のリスクが低いことも、実務での採用を検討する上で重要なポイントです。
特に大手建築事務所や企業のブランディング関連プロジェクトにおいて、この点は大きなメリットとなります。
建築分野で画像生成AIを使う際の注意点
建築分野で画像生成AIを使う際の注意点は、以下の通りです。
・画像生成AIの利用規約を遵守する
・著作権侵害のリスクがある
・AIが生成した建築画像の法的位置づけは曖昧である
注意点をしっかりと確認しながら、画像生成AIを使ってください。
画像生成AIの利用規約を遵守する
各画像生成AIサービスには独自の利用規約があり、建築分野で活用する場合も、これらを遵守することが重要です。
特に注意すべき点として以下が挙げられます。
商用利用の可否 | 生成した画像をクライアントへの提案やプレゼンテーションで使用する場合、そのサービスが商用利用を許可しているかを確認する必要があります。
例えば、無料版では非商用利用に限定されているケースも多いです。 |
クレジット表記の要件 | 一部のサービスでは、生成画像を使用する際にAIツールのクレジット表記を求めることがあります。
クレジット表記は、公開プレゼンテーションや出版物で使用する場合に特に重要です。 |
生成物の権利関係 | 生成された画像の知的財産権が誰に帰属するのか(利用者かサービス提供者か)を明確に理解しておく必要があります。
特にクライアントワークでは、納品物の権利関係が重要になります。 |
用途制限 | 一部のサービスでは、政治的内容や特定の建築物の複製など、特定の用途への使用を禁止していることがあります。
例えば、有名建築物の類似デザインを生成することが規約違反となる可能性もあります。 |
プロフェッショナルな建築業務でAIツールを活用する場合は、個人ではなく組織や事務所としての契約を検討し、法務専門家のアドバイスを受けましょう。
また、利用規約は頻繁に更新されることがあるため、定期的な確認も重要です。
著作権侵害のリスクがある
画像生成AIを建築設計に活用する際の重要な懸念事項として、著作権侵害のリスクがあります。
AIモデルは膨大な画像データから学習しているため、意図せず既存の著名な建築物や保護されたデザインの特徴を模倣した結果を生成する可能性があるのです。
例えば、「有機的な形状の現代建築」というテキストプロンプトから、ザハ・ハディドやフランク・ゲーリーの作品に酷似したデザインが生成されることもあります。
生成された画像が既存の著名な建築物に酷似していないか確認し、問題がある場合は使用を避けるか、大幅な修正を加えるべきです。
AIが生成した建築画像の法的位置づけは曖昧である
画像生成AIによって作成された建築イメージの法的位置づけについては、現在も議論が続いており、多くの不確定要素が存在します。
この曖昧さは、建築実務においていくつかの重要な懸念事項を生み出しています。
まず、AIが生成した建築デザインの著作権が誰に帰属するのかという問題があります。
一般的に、人間の創作物には著作権が発生しますが、AI生成物については各国の法制度によって解釈が異なるため注意しましょう。
次に、建築デザインとしての保護可能性の問題があります。
AIが生成した画像は、実際の建築物として実現可能かどうかが不明な場合が多く、構造計算や建築基準法への適合性が検証されていません。
このような未検証のデザインを、どこまで「建築デザイン」として法的に扱えるかという問題も存在します。
法的枠組みはAI技術の発展に追いついていない部分もあり、今後の法制度の整備や判例の蓄積によって状況は変化していくと予想されます。
画像生成AIを実務に取り入れる際は、慎重なアプローチを取ることが賢明です。
まとめ
画像生成AIは、建築分野に革新的なツールとして急速に浸透しています。
本記事で紹介したように、短時間で多様なデザインを生成できる点や、頭の中のイメージを視覚化できる点、クライアントとのコミュニケーションをスムーズにできる点など、数多くのメリットがあります。
一方で、細部の調整の難しさ、ノイズや歪みの発生、クライアントに合わせた微調整の必要性といったデメリットも存在します。
デメリットを理解した上で、適切な場面で画像生成AIを活用することが重要です。
今後も技術の進化とともに、画像生成AIの精度や使いやすさは向上していくでしょう。
建築の専門家として、画像生成AIを賢く取り入れ、伝統的な建築の専門知識とAIの力を融合させた新たなワークフローを確立していくことが、今後の成功への鍵となります。