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2025.11.14

建築CGパースの劇的な上達方法10選を具体的に解説!

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建築CGパースの技術を習得し、基本的な制作ができるようになったものの、「もっとクオリティを高めたい」「プロフェッショナルな仕上がりに近づけたい」と感じている方は多いのではないでしょうか。

建築CGパースは、3DCG技術だけでなく、写真撮影の知識、デザイン理論、建築の専門知識など、多岐にわたる要素を統合する複雑な分野です。

そのため、体系的な上達方法を見つけるのが難しく、どこから改善すればよいのか迷ってしまうことも少なくありません。

そこで本記事では、建築CGパースの劇的な上達方法10選を解説します。

建築CGパースの品質を飛躍的に向上させたい方は、本記事をぜひ最後までご覧ください。

 

建築CGパースとは

 

建築CGパースとは、コンピューターグラフィックス技術を用いて建築物や空間を視覚的に表現した図面のことです。

従来の手描きパースに代わり、3DCGソフトウェアを活用することで、よりリアルで精密な建築ビジュアライゼーションが可能になります。

建築CGパースは、建築デザインの提案段階において、クライアントに完成後のイメージを具体的に伝える重要なツールとして広く活用されています。

住宅、商業施設、オフィスビルなど、あらゆる建築プロジェクトにおいて、設計者の意図を視覚的に表現し、関係者間の認識を統一する役割を果たします。

近年では、VRやAR技術との連携も進み、建築CGパースの重要性はますます高まっています。

 

建築CGパースの上達方法10選

 

早速、建築CGパースの上達方法10選を見ていきましょう。

 

1.多くの参考資料を用意する

 

建築CGパースの上達には、質の高い参考資料を豊富に用意することが不可欠です。

優れた作品を日常的に観察することで、ライティング、構図、色彩感覚などが自然と養われていきます。

人間の記憶やイメージは漠然としており、何も見ずに理想的な表現を生み出すことは困難です。

まずは自分の目指すクオリティに近い資料を探し、それを目標として制作を進めましょう。

資料探しは、以下のようなサイトを活用してください。

 

Pinterest

 

Pinterestは、世界中のクリエイターが投稿する建築CGパースやインテリアデザインの画像を簡単に収集できるサイトです。

「architectural visualization」「interior rendering」などのキーワードで検索すれば、ハイクオリティな作品が数多く見つかります。

ボードを作成してテーマ別に画像を整理すれば、プロジェクトごとに必要な参考資料をすぐに取り出せる自分だけのライブラリを作成できます。

ライティングパターン、マテリアル表現、植栽の配置方法など、カテゴリー分けして保存すると効率的です。

コルクボードに写真をピン留めするような感覚で、使い勝手の良い資料集を作成できる点が魅力です。

 

出典:Pinterest「公式サイト

 

cgarchitect

 

cgarchitectは、建築ビジュアライゼーション専門のコミュニティサイトで、世界中のプロフェッショナルが最新作品を公開しています。

ギャラリーセクションでは、受賞作品や注目のアーティストによるハイエンドなCGパースを閲覧でき、建築ビジュアライゼーションに特化した情報や素材などの参考コンテンツも豊富です。

プロフェッショナルレベルの表現を学びたい方には最適なリソースで、最新のCGパーストレンドを把握するのにも役立ちます。

 

出典:cgarchitect「公式サイト

 

Behance

 

Behanceは、Adobe社が運営するクリエイティブ作品のポートフォリオサイトで、建築CGパースのカテゴリーにも多数の優れた作品が投稿されています。

各プロジェクトには制作過程や使用ツール、コンセプトなどが詳しく記載されていることが多く、学習教材として非常に価値があります。

また、作品に対するコメントやフィードバックも参考になり、何が評価されるのかを理解する手助けとなります。

Pinterestと比較すると、海外デザイナー中心でより洗練された印象の作品が多く、プロダクトやロゴなど多岐にわたるデザイン資料も探すことができます。

 

出典:Behance「公式サイト

 

2.白100%黒0%は使用しない

 

建築CGパースで初心者が陥りがちな失敗の1つが、白100%黒0%を使用してしまうことです。

現実世界において、完全な白や黒は存在せず、必ず周囲の光や環境の影響を受けて微妙に色が変化しています。

特殊な物体を除き、純粋な白100%や黒0%を持つ物体は現実には存在しません。

白い壁であれば、80〜90%程度の明度に抑え、わずかにグレーやベージュを混ぜた色を使用し、黒い素材でも5〜15%程度の明度を持たせた色を選択するのがおすすめです。

特に影の部分では、完全な黒ではなく環境光の反射を考慮した濃いグレーや青みがかった暗色を使用することで、深みのある立体表現が実現できます。

この微妙な色調整が、プロとアマチュアの作品を分ける重要なポイントの1つです。

 

3.スケールの違和感をなくす

 

建築CGパースにおいて、スケール感の正確さは極めて重要です。

家具、人物、植栽などの添景要素が実際の建築スケールと合っていないと、空間全体の説得力が失われます。

人物モデルの身長を基準(おおよそ170㎝程度を想定)として、他の要素とのバランスを確認しましょう。

特にタイルなどのマテリアルの大きさや、写真合成で配置する人物のサイズには細心の注意が必要です。

3DCG上で人物の大きさをあらかじめ把握しておき、それを基準に写真合成を行うのが望ましい方法です。

 

4.論理的に構図を決定す

 

魅力的な建築CGパースを制作するには、感覚だけでなく論理的な構図設計が重要です。

カメラアングル、焦点距離、被写体の配置などを意図的にコントロールすることで、見る人に伝えたいメッセージを効果的に表現できます。

写真撮影における基本を考慮しながら、構図の取り方は理論的に行うべきです。

 

あおり補正

 

あおり補正は、建築写真やCGパースにおいて垂直線を真っ直ぐに見せる技術です。

通常のレンズで建物を見上げると、上部がすぼまって見える現象が発生します。

ほとんどの3DCGソフトにはこの現象を補正する機能が備わっています。

建物の垂直性を保つことで、安定感と威厳のある印象を与えられるのです。

ただし、ダイナミックさを表現したい場合はあえてあおりを残すこともあり、表現意図に応じて使い分けることが大切です。

 

焦点距離

 

焦点距離の選択は、空間の見え方を大きく左右します。

人間の目の視界にもっとも近いとされる焦点距離は40〜50mm程度です。

内観パースでは36mm〜50mm程度がよく使用されます。

超広角の設定でパースが効きすぎると不自然に見えるため、特別な目的以外では避けたほうが無難です。

焦点距離による印象の違いを理解し、プロジェクトの目的に応じて最適なものを選択しましょう。

 

3分割法

 

3分割法は、画面を縦横それぞれ3等分し、その交点や線上に主要な被写体を配置する構図手法です。

人間の目は特に左上の交点に焦点を合わせる傾向があります。

建物の主要な垂直線を3分割線に合わせたり、地平線を上下の3分割線上に配置することで、安定感のある構図になります。

 

5.配色は色相環を意識する

 

色相環を理解し、意図的な配色を行うことで、調和のとれた美しいビジュアルが実現できます。

シーンの配色には、色相環による類似色の範囲におさまるように行うと、統一感やまとまりのあるパースが制作可能です。

 

6.面取りを行う

 

現実世界において、完全に鋭利な角を持つ物体はほとんど存在しません。

わずかな面取りを施すことで、光の反射が生まれ、より立体的でリアルな表現が可能になります。

 

7.陰影を生み出す

 

陰影は立体感と空間の奥行きを表現する上で最も重要な要素です。

建物やインテリアをライティングする際、光の当て方によって陰影を生み出すことを意識しましょう。

外観では、光のあたる面を明るく、あたらない面を暗くすることで立体感が生まれます。

この明暗の陰影を強くするとコントラストが生まれ、メリハリの利いた描写が可能です。

 

8.ディティールを作り込む

 

建築CGパースのリアリティは、細部へのこだわりによって大きく左右されます。

壁の質感、床の継ぎ目、家具の装飾、小物の配置など、ディティールの積み重ねが作品の完成度を高めます。

 

9.彩度を下げる

 

初心者が制作したCGパースは、彩度が高すぎて人工的な印象になりがちです。

現実の建築空間は、思っている以上に彩度が抑えられています。

壁や床など大面積を占める要素は低彩度にし、高彩度の色はアクセントとして限定的に使用しましょう。

 

10.建築・内装の基礎を身につける

 

優れた建築CGパースを制作するには、CG技術だけでなく、建築や内装デザインの基礎知識が不可欠です。

基本寸法や構造の知識があれば、違和感のないスケール感や、実際には存在し得ないデザインを避けられます。

建築雑誌や専門書を読む、実際の建築物を見学するなど、日常的に建築・デザインに触れる機会を増やしましょう。

設計者の意図を理解し、建物の魅力を表現するには、建築・内装の基礎を身につけることが重要です。

 

まとめ

 

建築CGパースの上達には、参考資料の収集、色彩理論の理解、正確なスケール感の維持、論理的な構図設計など、多面的なアプローチが必要です。

白100%黒0%を避ける、面取りを施す、彩度を抑えるといった細やかな配慮が、プロフェッショナルなビジュアルを生み出します。

また、技術的なスキルに加えて、建築やデザインの基礎知識を深めることで、説得力のある作品制作が可能になります。

建築CGパースを上達させたい方は、ぜひ本記事で紹介した方法を実践してみてください。

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