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2025.07.07

建築のオープンデスクの探し方とは?メリットも解説!

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建築学生にとって、設計事務所での実務経験はキャリアを考える上で欠かせません。

その絶好の機会が「オープンデスク」ですが、「どう探せばいい?」「参加するメリットは?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

本記事では、オープンデスクの探し方をはじめ、インターンシップとの違い、参加して得られる5つのメリット、後悔しない選び方の注意点までを徹底解説します。

本記事を読めば、自分に最適なオープンデスクが見つかり、就職活動や将来に向けた大きな一歩を踏み出せます。

ぜひ、有意義な実務経験を得るための参考にしてください。

 

建築業界のオープンデスクとは

 

まず、「オープンデスク」がどのようなものか、その定義と特徴を正しく理解しておきましょう。

オープンデスクとは、主に建築設計事務所が学生を対象に、実際の職場を開放し、実務を体験する機会を提供する制度のことです。

建築業界で古くから根付いており、未来の建築家を育てるための研修制度として広く認知されています。

学生は、設計事務所のスタッフと同じ空間で、プロの建築家が日々どのような仕事をしているのかを肌で感じることができます。

期間は事務所によって様々ですが、数日から数週間程度の短期で受け入れているケースが多く、夏休みや春休みといった長期休暇を利用して参加する学生が一般的です。

 

オープンデスクで体験できること

 

オープンデスクで体験できる業務内容は、事務所の方針や規模、プロジェクトの進行状況、そして参加する学生のスキルや意欲によって大きく異なります。

一般的には、以下のような業務の補助を任されることが多いでしょう。

 

業務 内容
模型製作 建築の検討に欠かせないスタディ模型やプレゼンテーション用の模型の製作です。

カッターの使い方や接着のコツなど、プロの精巧な技術を間近で見ながら学べます。

図面作成の補助 CADソフトを使った図面の修正やトレース、簡単な作図作業です。

実務で使われるレイヤーの分け方や線の太さのルールなど、実践的な知識が身につきます。

資料作成の補助 プレゼンテーション資料の作成、画像編集(Photoshop, Illustrator)、議事録の整理などを行います。
敷地調査や役所調査への同行 設計の初期段階で行われる敷地の測量や、関連法規を確認するための役所回りなどに同行させてもらえることもあります。
打ち合わせや現場定例の見学 所内のデザインレビューや、クライアントとの打ち合わせ、施工現場での定例会議などに同席させてもらえる機会があれば、非常に貴重な経験となります。

 

はじめは事務所の掃除や使い走りといった雑用からスタートすることもあるかもしれません。

しかし、積極的に学ぶ姿勢を見せることで、より専門的で責任のある仕事を任せてもらえる可能性も十分にあります。

 

インターンシップとの主な違い

 

オープンデスクと似た制度に「インターンシップ」があります。

両者は混同されがちですが、特に建築業界においては、以下のような違いが見られます。

 

項目 オープンデスク インターンシップ
主な目的 職場見学、実務体験、業界理解 採用選考の一環、人材育成
実施主体 アトリエ設計事務所が中心 組織設計事務所、ゼネコン、ハウスメーカーなど
期間 数日〜数週間程度(短期・柔軟) 数週間〜数ヶ月単位(プログラム化)
内容 実務の補助、雑務が中心 課題解決型プログラム、部署ごとの業務体験など
報酬 無給が慣例 有給の場合が多い
募集時期 通年募集や随時募集が多い 主に夏・冬など時期を限定して募集

 

最も大きな違いは報酬の有無と採用活動との関連性です。

オープンデスクは、あくまで学生側が「学ばせてもらう」というスタンスが基本で、無給であることが一般的です。

一方、インターンシップは企業側が採用候補者を見極める目的も強く、給与が支払われるケースが多く見られます。

この違いを理解しておくことは、後々のトラブルを避けるためにも非常に重要です。

 

建築のオープンデスクの探し方

 

実際にオープンデスクに参加したいと思ったら、どのようにして受け入れ先を探せばよいのでしょうか。

ここでは、代表的な5つの探し方を紹介します。

 

大学のキャリアセンターや教授の紹介

 

最も信頼性が高く、確実な方法の1つが、大学のキャリアセンター(就職課)や研究室の教授に相談することです。

大学には、様々な設計事務所からオープンデスクの募集情報が直接寄せられています。

また、教授個人の繋がりから、公には募集していない事務所を紹介してもらえるケースもあります。

先生方は業界の事情に詳しいため、自分の興味や適性に合った事務所を推薦してくれる可能性もあり、安心して参加できるのが大きなメリットです。

 

設計事務所の公式ウェブサイトをチェック

 

憧れている設計事務所や、作品集を見て興味を持った事務所がある場合は、まずその事務所の公式ウェブサイトをくまなくチェックしてみましょう。

「Recruit」「採用情報」「Join Us」「Contact」といったページに、オープンデスクの募集要項が掲載されています。

通年で募集している事務所もあれば、期間限定で募集告知を出す事務所もあります。

 

JIA(日本建築家協会)などの公式サイトで探す

 

公益社団法人日本建築家協会(JIA)や、各都道府県にある建築士会、建築士事務所協会といった公的な団体のウェブサイトも有力な情報源です。

これらのサイトでは、会員である設計事務所のオープンデスク募集情報が一覧で掲載されます。

地域や条件で絞り込んで探すことができ、効率的に情報収集できます。

信頼できる団体が発信する情報なので、安心して応募できるのも魅力です。

 

SNS(XやInstagram)で「#オープンデスク募集」を検索

 

現代ならではの探し方として、SNSの活用も非常に有効です。

X(旧Twitter)やInstagramで、「#オープンデスク募集」「#建築学生」「#アトリエ事務所」といったハッシュタグで検索すると、設計事務所の公式アカウントやスタッフ個人のアカウントから発信される募集情報を見つけられます。

SNSでは、事務所の雰囲気やスタッフの日常、手がけているプロジェクトの様子なども垣間見ることができ、自分に合った事務所かどうかを判断する材料にもなります。

 

求人サイトや建築系メディアで探す

 

建築業界に特化した求人サイトやウェブメディアにも、オープンデスクの募集情報が掲載されることがあります。

国内では「JDN(Japan Design Net)」、海外では「Archinect」「Dezeen Jobs」などが有名です。

また、建築専門のウェブマガジン「architecturephoto.net」などでも、情報が掲載されるケースがあります。

少し視野を広げて、こうしたメディアを定期的にチェックする習慣をつけておくと、思わぬ出会いがあるかもしれません。

 

学生がオープンデスクに参加する5つのメリット

 

時間や労力をかけてオープンデスクに参加することは、それに見合うだけの、あるいはそれ以上の大きな価値をもたらしてくれます。

ここでは、参加することで得られる5つの具体的なメリットを解説します。

 

①設計事務所のリアルな雰囲気や仕事内容がわかる

 

最大のメリットは、ウェブサイトや雑誌、OB訪問だけでは決してわからない、設計事務所の「生きた空気」を肌で感じられることです。

スタッフ同士がどのようなコミュニケーションを取りながら仕事を進めているのか、一日のタイムスケジュール、オフィスの環境、所長の人柄、議論が白熱するミーティングの緊張感など、その場に身を置くことでしか得られない情報が溢れています。

この経験は、自分がその事務所、ひいては建築業界で働く姿を具体的にイメージする上で、何よりも重要な判断材料となります。

 

②プロの技術や知識を間近で学べる

 

学校の授業で学ぶ知識が「理論」だとすれば、オープンデスクで学ぶのは「実践」です。

プロが使うCADソフトの便利なショートカットキー、美しい模型を素早く作るためのカッターの入れ方や接着のコツ、クライアントの心を掴むプレゼンテーションの構成、複雑な法規の読み解き方など、教科書には載っていない実践的な技術やノウハウの宝庫です。

一流のプロの仕事をすぐ隣で見る経験は、あなたのスキルを飛躍的に向上させるきっかけになるでしょう。

 

③学校では得られない人脈ができる

 

オープンデスクは、貴重な人脈形成の場でもあります。

尊敬する建築家や目標となる先輩スタッフと直接話せる機会はもちろん、同じように参加している他大学の優秀な学生と知り合うこともできます。

ここで築いた繋がりは、就職活動の際に情報交換をしたり、励まし合ったりする仲間になるだけでなく、将来あなたが建築家として独立した際に、協働するパートナーや良きライバルになる可能性も秘めています。

 

④自分の適性を見極め、キャリア像が明確になる

 

「自分は大規模なプロジェクトをチームで進める組織設計事務所と、少数精鋭でデザインを突き詰めるアトリエ事務所のどちらに向いているだろうか」「住宅設計と公共建築、どちらに強く惹かれるだろうか」といった悩みは、多くの建築学生が抱えるものです。

オープンデスクで実務の一部を体験することで、こうした問いに対する自分なりの答えが見えてきます。

自分の得意なこと、苦手なこと、本当にやりたいこと、漠然としていた将来のキャリア像が明確になります。

 

⑤ポートフォリオに厚みが出て、就職活動で有利になる

 

就職活動で必須となるポートフォリオにおいて、オープンデスクの経験は非常に強力なアピール材料になります。

参加して製作に携わった模型の写真や図面などをポートフォリオに加え、「〇〇設計事務所のオープンデスクにて、△△プロジェクトのスタディ模型を担当」といった具体的な説明を添えることで、あなたの学習意欲の高さと実践的なスキル、行動力を効果的に示すことができます。

 

後悔しないオープンデスクの選び方と注意点

 

せっかくの貴重な機会を無駄にしないためにも、受け入れ先を選ぶ際にはいくつかの注意点があります。

ミスマッチを防ぎ、有意義な経験にするためのポイントを押さえておきましょう。

 

自分の興味・関心で選ぶ

 

「有名な建築家の事務所だから」「友達が行くから」といった理由だけで選ぶのは避けましょう。

最も大切なのは、その事務所が手掛けている建築物の種類(住宅、商業施設、公共建築など)やデザインのスタイル、設計思想に、あなたが本当に興味を持てるか、共感できるかという点です。

事前にその事務所のウェブサイトや作品集をじっくりと読み込み、自分が何を学びたいのか、どのような建築に携わりたいのかを明確にした上で、自分の方向性と合致する事務所を選んでください。

 

期間や条件を事前に確認する

 

参加を決める前に、必ず以下の条件を確認し、事務所側と認識を合わせておくことがトラブル防止のために不可欠です。

 

条件 確認内容
期間と時間 いつからいつまで参加するのか、一日の拘束時間はどのくらいか。
報酬の有無 オープンデスクは無給が基本ですが、念のため確認しましょう。

交通費や食事代が支給されるかどうかも重要なポイントです。

業務内容 どのような仕事を任せてもらえる可能性があるのか、事前に質問しておくと、心の準備ができます。
保険の加入 万が一の事故や怪我に備え、多くの事務所では「学生教育研究災害傷害保険(学研災)」への加入を参加条件としています。

大学で加入手続きを済ませておきましょう。

服装や持ち物 特別に指定があるかどうかも確認しておくと安心です。

 

これらの点を曖昧にしたまま参加すると、「思っていたのと違った」という後悔に繋がりかねません。

メールなどで事前にしっかりと確認を取りましょう。

 

まとめ

 

建築のオープンデスクは、設計事務所のリアルな仕事に触れ、スキルや人脈を得られる絶好の機会です。

学校では学べない実践的な経験は、将来のキャリアを考える上で確かな土台となるでしょう。

大切なのは、知名度だけでなく自分の興味関心に合った事務所を選び、期間や条件を事前に確認することです。

そして何より、積極的に学ぶ姿勢が有意義な経験に繋がります。

本記事を参考に、あなたにとって価値あるオープンデスクを見つけ、未来への第一歩を踏み出してください。

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