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2025.05.15

Midjourneyを使って建築パースは作れる?プロンプト例やメリット・デメリットを徹底解説!

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建築業界において、建築パースはクライアントへのプレゼンテーションや設計イメージの可視化に欠かせません。

建築パース制作は、従来、専門のCGデザイナーによる時間と労力を要する作業でした。

しかし、AI画像生成ツール「Midjourney」の登場により、その作成プロセスが大きく変わりつつあります。

本記事では、Midjourneyを使った建築パース作成のメリット・デメリットから具体的な作成方法、効果的なプロンプト例まで徹底解説します。

建築士、デザイナー、不動産関係者はもちろん、自宅やオフィスのイメージを具体化したい方にもおすすめの内容です。

 

Midjourneyとは?

 

 

Midjourneyは、テキストプロンプトから高品質な画像を生成できるAI画像生成ツールです。

2022年に一般公開され、その驚異的な画像生成能力で世界中のクリエイターやビジネスパーソンから注目を集めています。

Midjourneyの特徴は、芸術性の高い画像生成に優れている点です。

特に、建築物や風景の描写においては、写実的でありながらも美的センスに優れた画像を生成できることから、建築業界での活用が急速に広がっています。

Midjourneyは、主にDiscordというコミュニケーションプラットフォーム上で動作し、テキストコマンドを入力することで画像を生成します。

最新バージョンでは、より精密な描写や複雑な指示への対応力が向上し、プロフェッショナルな建築パース制作にも十分活用できるレベルに達しています。

 

Midjourneyで建築パースを作るメリット

 

Midjourneyで建築パースを作るメリットは、以下の通りです。

 

・高品質なパースを一瞬で作成できる

・複数のアイディアを出してくれる

・コンセプト設計に役立てられる

・3Dモデリングの作業負担が軽減する

 

具体的な内容を1つずつ見ていきましょう。

 

 

高品質なパースを一瞬で作成できる

 

 

Midjourneyの最大の魅力は、従来であれば数時間から数日かかる建築パースの作成が数分で完了する点です。

プロンプトを入力してから約1分程度で初期画像が生成され、その後の調整を含めても、ほんの数分で高品質な建築パースが完成します。

特に、納期の厳しいプロジェクトや複数のバリエーションが必要な場合に、この迅速さは大変役立ちます。

従来の3DCGソフトウェアでモデリングし、マテリアルやライティングを調整して最終的にレンダリングするという長いプロセスを大幅に短縮できるのです。

例えば、クライアントとの打ち合わせ中に「こんなイメージはどうでしょうか?」と即座に提案できるようになり、コミュニケーションの質が向上します。

これにより、デザイン決定のプロセスが加速し、プロジェクト全体の進行スピードが向上するでしょう。

 

複数のアイディアを出してくれる

 

 

Midjourneyでは、1回のプロンプト入力で複数のバリエーションが生成されます。

これは、デザインの幅を広げる際に非常に有効です。

同じ建物でも、視点や雰囲気が異なる複数のパースを短時間で比較検討できるのです。

また、生成された各バリエーションをさらに派生させることで、より多くのアイディアを生むことができます。

例えば「モダンな住宅」というプロンプトから始めて、気に入ったデザインに対して「広い窓のある」「木材を多用した」などの要素を追加していくことで、自分のイメージに近づけていくことが可能です。

Midjourneyを活用すれば、従来の設計プロセスでは難しかった「もし〜だったら?」という仮説検証を簡単に行えます。

 

コンセプト設計に役立てられる

 

 

建築プロジェクトの初期段階では、明確なビジョンがなく、様々なアイディアを模索することが一般的です。

Midjourneyは、この「アイディア出し」の段階で強力なツールとなります。

抽象的な概念からでも視覚的なイメージを生成できるため、「自然と調和した持続可能なオフィス」や「伝統と現代性が融合した住宅」といったコンセプトを視覚化できます。

これにより、設計チームやクライアントとのコミュニケーションがスムーズになり、プロジェクトの方向性を早期に定められるでしょう。

また、異なるスタイルや時代の建築要素を組み合わせた実験的なデザインも容易に生成できるため、従来の設計プロセスでは思いつかなかった革新的なアイディアが生まれる可能性も高まります。

 

3Dモデリングの作業負担が軽減する

 

 

従来の建築パース制作では、まず3Dソフトウェアで建物の構造をモデリングし、細部まで作り込む必要がありました。

この作業は高度な技術と時間を要します。

Midjourneyを活用することで、詳細な3Dモデリング作業を行わずとも、リアルな建築パースを生成できます。

また、3Dモデリングのベースができている場合でも、そのレンダリング画像をMidjourneyに読み込ませることで、より洗練されたビジュアルに仕上げることも可能です。

これにより、モデリングとレンダリングの両方の作業時間を大幅に削減できます。

技術的なハードルが下がることで、より多くの建築関係者が質の高いパースを活用できるようになり、クライアントとのコミュニケーションの質も向上するでしょう。

 

Midjourneyで建築パースを作るデメリット

 

Midjourneyで建築パースを作るデメリットは、以下の通りです。

 

・細部を調整するのが難しい

・ノイズや歪みが発生することがある

・クライアントに合わせて微調整する必要がある

 

デメリットを把握した上で、Midjourneyを活用しましょう。

 

 

細部を調整するのが難しい

 

Midjourneyの大きな課題の1つは、生成された画像の細部を自由に調整することが難しい点です。

従来の3DCGソフトウェアであれば、窓の大きさや配置、材質の細かな質感などを自由に変更できます。

一方で、Midjourneyではプロンプトの調整による間接的なコントロールに限られます。

例えば、「この窓をもう少し大きく」「この壁の材質をコンクリートから木材に変更」といった具体的な指示に対して、思った通りの結果を得るのが困難です。

プロンプトエンジニアリングのスキルを磨くことで改善はしますが、完全な制御は難しく、特に技術的な正確さが求められる詳細な実施設計図などの用途には不向きです。

 

ノイズや歪みが発生することがある

 

AIによる画像生成の性質上、現実では物理的にあり得ない構造や、不自然な歪みが発生することがあります。

特に、建築物の直線や対称性、パースペクティブなどは、時として不自然な結果になることがあります。

例えば、窓の配置がずれていたり、柱が不自然に曲がっていたり、遠近感が崩れていたりする場合があります。

複雑な構造や特殊な角度からの視点を要求すると、このような問題が生じやすくなるのです。

また、細かいテクスチャやディテールにおいてもノイズが発生することがあり、プロフェッショナルな用途では後処理が必要になるかもしれません。

 

クライアントに合わせて微調整する必要がある

 

Midjourneyで生成された建築パースは、芸術的な表現が強調される傾向があります。

これは魅力の1つですが、クライアントによっては「より実用的で正確な」ビジュアルを求める場合があります。

特に、不動産販売や実際の建設を前提とした用途では、過度に理想化されたイメージではなく、より現実的な表現が求められるでしょう。

このような場合、プロンプトの慎重な調整や、生成後の画像編集ソフトでの後処理が必須です。

Midjourneyが生成した画像をそのまま使うのではなく、最終的な用途や目的に合わせて微調整する工程は避けられません。

 

Midjourneyを使った建築パースの作り方

 

この章では、Midjourneyを使った建築パースの作り方を分かりやすく解説します。

 

 

①Midjourney公式サイトからDiscordに参加する

 

Midjourney公式サイトにアクセスし、Discordサーバーに参加します。

その後、サブスクリプションプランを選択して支払いを完了させます。

無料版もありますが、利用制限があるため注意しましょう。

 

②アスペクト比を設定する

 

 

建築パースを作成する際、アスペクト比(縦横比)の設定は非常に重要です。

建物の種類や強調したい要素によって、最適なアスペクト比は異なります。

それぞれのアスペクト比の特徴は、以下の通りです。

 

アスペクト比 特徴
16:9 横長のワイドビューです。

建物の全景や横に広がるファサードに適しています。

1:1 正方形です。

バランスの取れた構図に適しています。

9:16 縦長です。

高層ビルや細長い建物の全体像を捉えるのに適しています。

4:3 やや横長です。

伝統的な写真比率で、多くの建築写真に使われる標準的な比率です。

 

建築パースでは、建物全体と周辺環境を含める場合は横長の比率、建物の正面や内部空間を強調する場合は正方形や縦長の比率がおすすめです。

 

③Aestheticsを設定する

 

 

Midjourneyでは、生成される画像の全体的な美的スタイルを調整可能です。

Aestheticsは、建築パースの雰囲気やレンダリングスタイルに大きく影響します。

Aestheticsの種類は、以下の3つです。

 

種類 説明
Stylization Midjourney独自の芸術的な解釈や装飾を加えるかを調整する設定です。
Weirdness どれくらい予想外で、非現実的で、あるいは異質な要素を加えるかを調整する設定です。
Variety どれくらい異なるバリエーションの画像を生成するかを調整する設定です。

 

上記の3つを設定し、理想の建築パースを仕上げましょう。

 

④参照画像を読み込む

 

既存のスケッチや3Dモデルのレンダリング、参考にしたい建築物の写真などを使って、より具体的なイメージを生成可能です。

これは、特に既存プロジェクトのビジュアライゼーションを強化したい場合に役立ちます。

参照画像を使用する手順は、以下の通りです。

 

1.Midjourneyに参照画像をアップロードする。

 

 

2.アップロードした画像をプロンプトに追加する。

 

 

3.プロンプトを入力して画像を出力する。

 

 

プロンプトの最後に、「style weight(スタイルの重さ)」を意味する「––sw〇〇」を組み込みます。

〇〇の中には、0〜1000までの数字を入れましょう。

数字が1000に近づくほど、参照画像のスタイルが強く反映されます。

 

引用:Midjourneyで建築パースは作れる?プロンプトや実例、コツを解説

 

建築パースを作るためのプロンプト

 

この章では、建築パースを作るためのプロンプトを解説します。

 

 

プロンプトの基本構成

 

プロンプトの基本構成は、以下の通りです。

 

[建築タイプ],[建築スタイル],[参照する建築家],[建物の素材・テクスチャ],[ライティングや環境],[カメラアングル]

 

プロンプトの入力例は、以下の通りです。

 

restaurant building, contemporary building, Kenzo Tange, exposed concrete texture, warm sunset light, front elevation view

 

上記のプロンプトの場合は、建築タイプは「レストラン」、建築スタイルは「現代建築」、参照する建築家は「丹下健三」、建物の素材・テクスチャは「打ち放しコンクリート」、ライティングや環境は「暖かな夕日の光」、カメラアングルは「正面図」となっています。

プロンプトで利用可能なワード例を、以下にまとめました。

 

「建築タイプ」のプロンプト

 

建築タイプは、作成したい建物の基本的な用途や形態を示します。

建築タイプのプロンプトで利用可能なワード例は、以下の通りです。

 

ワード 日本語訳
restaurant building レストラン
single family house 一戸建て住宅
condominium 分譲マンション
office building オフィスビル
department store 百貨店
museum 美術館
government building 公共施設
actory building 工場
recreation center レクリエーション施設
fitness center フィットネスセンター

 

「建築スタイル」のプロンプト

 

建築スタイルは、建物のデザイン語彙やアプローチを定義します。

このワードにより、生成される建築パースの全体的な美的方向性が決まります。

建築スタイルのプロンプトで利用可能なワード例は、以下の通りです。

 

ワード 日本語訳
contemporary building 現代建築
modern architecture モダン建築
wooden construction 木造建築
traditional japanese 伝統的な日本建築
tatami flooring 畳敷き
gothic architecture ゴシック建築
baroque architecture バロック建築
ornate details 装飾的なディテール
sustainable design サステナブルデザイン
mediterranean style 地中海スタイル

 

「参照する建築家」のプロンプト

 

特定の建築家やスタジオのスタイルを参照することで、より明確なデザイン言語を指定できます。

参照する建築家のプロンプトで利用可能なワード例は、以下の通りです。

 

ワード 日本語訳
Kenzo Tange 丹下健三
Kazuyo Sejima 妹島和世
Norman Foster ノーマン・フォスター
Santiago Calatrava サンティアゴ・カラトラバ
Le Corbusier ル・コルビュジエ
Walter Gropius ワルター・グロピウス
Alvar Aalto アルヴァ・アアルト
Peter Eisenman ピーター・アイゼンマン
Frank Gehry フランク・ゲーリー
Michael Graves マイケル・グレイブス

 

「建物の素材・テクスチャ」のプロンプト

 

素材とテクスチャの指定は、建築パースの質感と雰囲気を大きく左右します。

詳細な素材の記述により、より具体的で魅力的なビジュアルを生成できます。

建物の素材・テクスチャのプロンプトで利用可能なワード例は、以下の通りです。

 

ワード 日本語訳
exposed concrete texture 打ち放しコンクリート
glass facade ガラスの外観
timber cladding 木製外装材
wooden interior 木製の内装
weathered steel cladding 錆び鋼板の外装
smooth finish 滑らか仕上げ
glossy finish 光沢仕上げ
matte surface マット仕上げ
frosted glass すりガラス
natural patina 自然な風合い

 

「ライティングや環境」のプロンプト

 

ライティングと環境の設定は、建築パースの雰囲気を変える重要な要素です。

時間帯や天候、季節感などを指定することで、建物の見え方が大きく変わります。

ライティングや環境のプロンプトで利用可能なワード例は、以下の通りです。

 

ワード 日本語訳
warm sunset light 暖かな夕日の光
golden hour lighting 夕焼けの光
morning mist 朝もや
morning light 朝の光
midday sun 真昼の太陽
bright daylight 明るい昼間の光
night scene 夜景
moonlight 月明かり
blue sky 青空
rainy mood 雨の雰囲気

 

「カメラアングル」のプロンプト

 

カメラアングルの指定は、建築物の見せ方に直接影響します。

建物の特定の側面を強調したり、全体像を示したりする上で重要な要素です。

カメラアングルのプロンプトで利用可能なワード例は、以下の通りです。

 

ワード 日本語訳
front elevation view 正面図
aerial perspective 鳥瞰図
wide-angle shot 広角ショット
Isometric view アイソメトリックビュー
panoramic view パノラマビュー
rooftop perspective 屋上からの視点
living room view リビングからの視点
atrium view 吹き抜けの視点
staircase view 階段からの視点
floor plan view 平面図

 

理想的な建築パースに近づけるコツ

 

Midjourneyで理想的な建築パースに近づけるコツは、2つあります。

 

・プロンプトで重みを指示する

・ネガティブプロンプトを使用する

 

上記を行うと、より理想的な建築パースに近づけることができるため、ぜひ参考にしてください。

 

 

プロンプトで重みを指示する

 

Midjourneyでは、特定のキーワードに「重み」を付けることで、そのキーワードの重要度を調整できます。

これにより、生成される画像でどの要素を強調するかをコントロールできるのです。

重みの指定方法は、ワードの後ろに「::」を付け、その後に数値を記述します。

プロンプトの入力例は、以下の通りです。

 

restaurant building, contemporary building, Kenzo Tange::5, exposed concrete texture, warm sunset light, front elevation view

 

上記のようにプロンプトを入力すると、建築家の「丹下健三」の要素を強調できます。

 

ネガティブプロンプトを使用する

 

Midjourneyでは、「こういった要素は避けてほしい」という指示をネガティブプロンプトとして指定できます。

これは特に建築パースにおいて、不要な要素や誤った表現を排除するのに役立ちます。

ネガティブプロンプトは、ワードの前に「–no」を付け、その後に画像に反映してほしくない要素を追加します。

プロンプトの入力例は、以下の通りです。

 

restaurant building, contemporary building, Kenzo Tange, exposed concrete texture, warm sunset light, front elevation view–no people

 

上記のようにプロンプトを入力すると、人物を入れずに画像生成できます。

 

まとめ

 

Midjourneyは、建築パース制作の分野に革命的な変化をもたらしています。

従来は専門的なスキルと時間を要した建築ビジュアライゼーションが、適切なプロンプトを使用することで、短時間で高品質に生成できるようになりました。

Midjourneyは、完全に従来の建築パース制作を置き換えるものではありません。

しかし、設計初期段階の視覚化や複数案の検討、クライアントとのコミュニケーションツールとして非常に有効です。

特に、建築設計のプロセス全体を効率化し、クリエイティブな発想を促進する点で、今後さらに建築業界での活用が広がっていくでしょう。

本記事で紹介したテクニックを参考に、魅力的な建築パース作りにチャレンジしてみてください。

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