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2024.11.03

女性建築設計士の割合は?需要や年収、女性ならではの悩みも紹介!

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建築士は、男性が多いイメージがある方も多いのではないでしょうか?

しかし、近年では女性建築士の割合が増えています。

本記事では、女性建築士の割合や需要を解説します。

女性ならではの悩みや、活躍している女性建築士についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

建築士・設計士・建築家の違い

 

まずは、建築士・設計士・建築家の違いを解説します。

いずれも似たような業務を担当していますが、その内容には明確な差があるのです。

 

 

建築士

 

建築士は、国家資格を持つ専門家です。

一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類があり、建築物の設計や工事監理を行う権限を持ちます。

建築士は、安全性や法令順守に重点を置き、実務的な観点から建築プロジェクトに携わるのが特徴です。

また、設計だけでなく、施工管理や建築確認申請なども担当します。

 

設計士

 

設計士は、主に建築物の設計に特化した専門家です。

明確な定義はなく、建築士資格を持っていなくても「建築士」を名乗ることができます。

また、建築分野だけでなく、機械の設計や土木分野の設計をする人も、設計士と呼ばれるので、使い分けに注意しましょう。

 

建築家

 

建築家は、創造的かつ芸術的な観点から建築する専門家です。

設計士同様、明確な定義がないため資格を持っていなくても、「建築士」を名乗ることができます。

建築士資格があり建築家を名乗っている場合は、独自の哲学や美学を反映させた設計を得意としていることが多いです。

 

女性建築士の割合

 

建築士・設計士・建築家の違いが理解できたところで、女性建築士の割合について解説します。

建築士の試験を運営している建築技術教育普及センターによると、女性建築士の割合は以下の通りです。

 

資格 学科試験の女性合格者割合 設計製図試験の女性合格者割合
二級建築士 37.0% 39.0%
一級建築士 29.8% 30.8%

参考:一級建築士試験の試験結果二級建築士試験の試験結果

 

このように、全体の3割程度は女性が占めていることが分かります。

 

女性建築士の需要

 

建築士全体における女性の割合は増えており、女性建築士の需要は高まっています。

建築業界はかつて、男性中心の業界でしたが、現在では女性が働きやすくするための取り組みをしている会社が増えているのです。

国土交通省が発表している「建設業における女性活躍推進に関する取り組み実態調査」では、「女性が活躍できる会社になるよう、採用や登用で自主的な数値目標を設定しているか」という質問に対し、以下のような結果となりました。

 

設定している 37.9%
設定していないが、今後設定する予定 47.4%

 

現在の女性建築士の割合は全体の3割前後ですが、今後建築士として活躍する女性は増えていくでしょう。

 

女性建築士の年収

 

続いて、女性建築士の年収について解説します。

賃金構造基本統計調査によると、女性一級建築士の平均年収は約600万円で、これは建築士の全体平均よりも約100万円低い数字です。

しかし近年では一級建築士や二級建築士の試験合格者の約3割が女性であり、この比率は今後も増加する見込みです。

出産などでキャリアが一時中断する可能性を考慮し、資格を取得しておこうとする女性も増えています。

女性建築設計士が収入を上げるためには、育児休業など福利厚生が整った大企業や、勤務時間に柔軟に対応できる設計事務所に勤務するのが効果的です。

設計の世界は厳しいながらも、実力が認められれば信頼を得ることができます。

特に、ハウスメーカーや個人宅専門の設計事務所では、家事動線を考えた設計が求められる場面も多く、女性の設計士が建築主から指名されることもあります。

今後、女性建築設計士のさらなる活躍が期待されるでしょう。

 

女性ならではの悩み

 

ここからは、女性建築士ならではの悩みについて解説します。

 

・結婚や出産との両立

・体力・精神面

・男性社会でのコミュニケーション

 

これから建築士を目指す女性は、あらかじめ目を通しておきましょう。

 

 

結婚や出産との両立

 

結婚や出産などライフステージに合わせて、建築士業務を両立することに悩んでいる女性は多いです。

しかし、近年では女性が働きやすくするために、さまざまな制度を取り入れている会社が増えています。

建設業における女性活躍推進に関する取り組み実態調査」によると、女性活躍推進の取り組みをしている建設会社は、以下のような結果となりました。

 

産前・産後休業制度を設けている 97.9%
育児休業制度を設けている 96.9%
子育て介護に係る短時間勤務制度を設けている 90.6%

 

このように、ライフステージに合わせた働き方ができる会社が増えていることが分かります。

 

体力・精神面

 

中には、体力・精神面で苦労する女性建築士もいます。

建築士は、設計やデザイン以外にも、実際に施工現場に足を運び、工事が順調に進んでいるかを確かめなければなりません。

また、急に短納期の設計依頼が入ったり、施工現場のトラブルが発生したりなど、臨機応変な対応を求められることもあります。

その結果、体力・精神面ともに疲弊し、建築士業務が辛いと感じることがあるのです。

 

男性社会でのコミュニケーション

 

男性社会でのコミュニケーションに苦痛を感じてしまう女性もいるでしょう。

建築業界の女性の割合は増加していますが、まだ男性の方が多い現状です。

そのため、男性スタッフの気持ちを汲み取り、コミュニケーションを取るのが難しいと思うこともあります。

もし、男性社会でのコミュニケーションに不安がある方は、女性建築士がいる職場へ就職するのがおすすめです。

女性ならではの悩みに共感したり、アドバイスを貰えたりと何かと力になってくれるでしょう。

 

女性建築士の強み

 

続いて、女性建築士の強みを解説します。

 

・女性ならではの視点がある

・家事や育児の経験を活かせる

 

それでは一つずつ見ていきましょう。

 

 

女性ならではの視点がある

 

女性ならではの視点は、大きな強みとなります。

例えば、リビングやキッチン、洗面所などの設計を考える際、メインユーザーが女性である場合は、女性建築士の方が共感できるアイデアを提案できるでしょう。

また、戸建て住宅以外にもネイルサロンや脱毛サロン、下着店など女性向けの店舗でも女性ならではの視点が役立ちます。

このように、女性建築士の方が、女性の気持ちを考えたデザイン設計がしやすいのです。

 

家事や育児の経験を活かせる

 

家事や育児の経験を活かせるため、戸建て住宅の設計などで役に立つでしょう。

特に出産は女性しか経験できないため、妊婦の気持ちを考えたデザイン設計ができます。

このように、家事や育児の経験を活かせる点は、女性建築士の大きな強みとなるでしょう。

 

女性建築士の服装

 

女性建築士は、職場でどのような服装をしているのでしょうか?

設計事務所の場合と、建築会社や住宅会社の場合に分けて解説します。

 

 

設計事務所の場合

 

設計事務所の場合、TPOに合った服装であれば良いことが多いです。

もし、一日の業務が顧客との打ち合わせのみの場合は、スカートを許可していることもあるでしょう。

ただし、施工現場に足を運ぶ場合は、スカートではなく動きやすいパンツスタイルがおすすめです。

 

建築会社や住宅会社の場合

 

建築会社や住宅会社の場合は、会社の作業服を着用することが多いです。

作業服に抵抗のある女性もいるかもしれませんが、最近ではユニセックスでおしゃれなデザインの作業服も増えているので安心してください。

 

活躍している女性建築士

 

最後に、活躍している女性建築士を5名紹介します。

 

・妹島和世

・乾久美子

・中川エリカ

・永山祐子

・大西麻貴

 

日本の建築業界を牽引している女性ばかりです。

それでは、一人ずつ見ていきましょう。

 

 

妹島和世

 

1956年生まれの建築家です。

軽やかで透明感のある建築で知られ、SANAA(妹島和世+西沢立衛設計事務所)の共同主宰者として国際的に高い評価を得ています。

代表作は、「金沢21世紀美術館」や「ルーヴル美術館ランス別館」などです。

2010年にはプリツカー賞を受賞し、日本人女性初の快挙となりました。

 

乾久美子

 

1969年生まれの建築家です。

繊細かつ大胆な設計で注目を集め、日常の中に新しい空間体験を生み出すことを得意としています。

代表作は、「ルイ・ヴィトン表参道店」や「犬島 家プロジェクト F邸」などです。

他にも、東日本大震災で被害を受けたエリアの建築物の設計にも多く携わっています。

2006年には、日本建築学会賞を受賞しました。

 

中川エリカ

 

1971年生まれの建築家です。

ユニークな発想と実験的なアプローチで知られ、建築と都市計画の領域で活躍しています。

東京大学助教を務めた経験もあり、理論と実践の両面から建築に取り組んでいるのです。

代表作に、「おだわら市民交流センターUMECO」や「桃山ハウス」などがあります。

彼女は、「JIA新人賞」や「吉岡賞」を受賞しており、日本国内で注目されている女性建築家の一人です。

 

永山祐子

 

1975年生まれの建築家です。

建築と風景の融合を追求し、場所の文脈を重視した設計で注目を集めています。

代表作には、「ガーデンテラス宮崎」や「COREDO室町テラス」、「LOUIS VUITTON 大丸京都店」などがあります。

2025年の大阪・関西万博では、「パナソニックグループパビリオン『ノモの国』」と「Women’s Pavilion in collaboration with Cartier」の建設計画が進行中です。

2018年には、日本建築学会賞を受賞しました。

 

大西麻貴

 

1983年生まれの建築家です。

若手ながら独自の視点と斬新な発想で注目を集めています。

2008年に建築設計事務所「o+h」を設立し、住宅や商業施設など幅広い分野で活躍しています。

代表作は「鎌倉の家」で、2023年に開催された「第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」において、日本館のキュレーターに選出されました。

 

まとめ

 

本記事では、女性建築士の割合や需要、女性ならではの悩みを解説しました。

現在の女性建築士の割合は約3割で、徐々にその数が増えています。

女性建築士は、「結婚や出産との両立」「体力・精神面」「男性社会でのコミュニケーション」で悩むことがあるでしょう。

しかし、女性が働きやすい環境を整えている会社が増えているため、そこまで心配する必要はありません。

あなたもぜひ女性建築士を目指しましょう。

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