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2024.10.09

建築設計職のための職務経歴書作成ガイド・書類選考に通過する書き方は?

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転職活動において、職務経歴書は採用担当者が最も注目する資料です。

企業が求める人材が自社のニーズに合致しているかを見極めるため、職務経歴書は最適な判断材料となります。

特に建築設計職においては、その業務範囲が広く、経験に応じて獲得できるスキルも多岐に渡るため、適切に自身の能力をアピールすることが重要です。

本記事では、建築設計業界での職務経歴書作成方法を詳しく解説します。

採用担当者に「会ってみたい」「話しをしたい」と思わせる、職務経歴書のポイントをまとめています。

設計や建築の経験を活かし、キャリアアップを目指す方は是非参考にしてください。

 

建築設計職の職務経歴は大きく分けて3つ

 

建築設計職の経験は、勤務先の企業や部署によって大きく異なります。

そのため就職活動を進める際には、応募する企業が求める職種をしっかり理解し、それに合った職務経歴書を作成することが重要です。

クライアントの要望を聞き取り設計図を作成し建築する流れの中で、自分の経験を活かせる業務を明確化してから職務経歴をまとめましょう。

ここでは建築設計業務を「意匠設計」「構造設計」「設備設計」に分類し、それぞれのポイントを詳しく解説します。

細かな業務経験を記載する前に、大枠を把握し適切な職務経歴書を作成することが成功への鍵となるでしょう。

 

 

意匠設計

 

意匠設計とは、建物の外観や内部の間取りなど、建築物全体のデザインを担う重要な役割です。

「歴史に残る建物を設計したい」「ル・コルビュジエのような建築家を目指したい」と、多くの人が意匠設計士を憧れの職業として捉えています。

しかし、意匠設計士として成功するためには、優れたデザイン能力だけでなく、美観と機能性を両立できるスキルが求められます。

また、クライアントの要望を反映しながら、構造設計士や設備設計士、施工業者などと円滑にコミュニケーションを図り、プロジェクト全体を指揮するリーダーシップも不可欠です。実績豊富なプロジェクトリーダーとしての経験があると、転職活動でも有利に働くでしょう。

現職での経験が浅い場合は、学生時代のプロジェクトや専攻内容、指導を受けた教授などを職務経歴書に記載すると、アピールポイントになります。

 

意匠設計の経歴が活かせる就職先:アトリエ系建築事務所・組織設計事務所・ゼネコンの意匠設計部門など

 

構造設計

 

構造設計は、意匠設計士が描いたデザインをもとに、建物の安全性や機能性を担保するための力学的計算を行う仕事です。

構造設計士は、柱や土台などが建物全体の重量や地震などの自然災害に耐えられるように、細かい計画を立てます。

建築士による構造計算書の偽造事件を契機に、建築基準法が改正され、一定規模以上の建築物には一級構造設計士の関与が義務付けられています。

特に地震や洪水などの自然災害が多発する日本では、建物の安全性への関心が高まっており、構造設計の経験は転職市場で大きなアドバンテージとなります。

 

構造設計の経歴が活かせる就職先:構造設計事務所・組織設計事務所・ゼネコンの構造設計部門など

 

設備設計

 

設備設計は、建物内のインフラ設備である電気、空調、給排水、換気、通信などの設計をする業務です。

意匠設計図をもとに、電気配線や空調ダクト、トイレや浴室の給排水設備などの配置を決定します。

エネルギー効率やコストを考慮しつつ、建物を快適に利用できる環境を提供するのが設備設計士の役割です。

設備設計を目指すには、建築関連の知識に加えて、電気工学や機械工学の知識があるとさらに有利です。

また技術面だけでなく、意匠設計を損なわずに建物の美観を維持するデザインへの理解力も求められます。

 

設備設計の経歴が活かせる就職先:設備設計事務所・組織設計事務所、ゼネコンの設備設計部門など

 

建築設計職の職務経歴書に必ず入れるべき項目

 

建築設計職の職務経歴書において「具体的な業務内容」「携わった建物の構造・規模」、「自身が貢献できたポイント」の3つの観点から重要な情報をまとめることが、採用担当者に対して効果的なアピールになります。

それぞれの項目の内容を以下に解説します。

 

 

具体的な業務内容

 

ここでは、担当していたプロジェクトや役割を具体的に説明します。

建築設計における業務範囲を明確にし、どのようなタスクに従事していたのかを具体的に記載しましょう。

 

【例】

  • 住宅、商業施設、公共施設の設計プランの作成
  • クライアントとの打ち合わせ、要望ヒアリング
  • CADソフトを使用した図面作成および修正
  • 各専門業者との調整および施工管理法規制や環境条件に基づく設計案の検討と改善

 

構造・規模

 

設計に携わった建物の規模や構造を記載することで、自分が経験したプロジェクトの難易度やスケールを明確に伝えます。

大規模なプロジェクトでの経験はもちろん、小規模でも特殊な建物の設計などの経験があれば積極的に記載してください。

採用担当者にあなたの能力と経験を充分にアピールするために、具体的な施設名や数字を盛り込むことで、より説得力のある内容にしましょう。

 

【例】

  • 鉄筋コンクリート造(RC造)、地上10階建て、延べ床面積5,000㎡のオフィスビル
  • 木造2階建て、延べ床面積300㎡の住宅、
  • 商業施設(ショッピングモール)の設計プロジェクト、延べ床面積10,000㎡

 

自身が貢献できたポイント

 

経験したプロジェクトに対してどのように貢献したかを具体的に記載します。

自分がどのようなスキルや工夫を持って成果を上げたのかを明確にして、面接の場で具体的なエピソードを語れるよう準備してください。

 

【例】

  • 環境に配慮したエネルギー効率の高い設計案を提案し、クライアントから高評価を得た
  • 予算内での設計を維持しつつ、クライアントの要望を最大限に反映したプランを作成
  • プロジェクトの進行をスムーズにするため、施工業者との調整を円滑に行い、予定よりも早い工期で完成
  • 法規制の厳しい地域において、建築基準法を遵守した設計に成功

 

職務経歴書をより魅力的に見せるためのアピールポイント

 

建築設計の職務経歴書をより魅力的に見せるためには、以下の項目に分けて効果的にアピールすることが大切です。

それぞれの項目ごとに、具体的なアピールポイントを説明します。

 

 

学歴

 

学歴は建築設計の基礎知識を学んだバックグラウンドを示す重要な要素です。

どのような分野を学び、どのような実習、課題を行ったか簡潔に伝えましょう。

ゼミや授業で師事した教授名を挙げることも効果的です。

コンペ参加や設計事務所のオープンテーブルなど、授業以外の活動があれば記載してください。

 

【例】

  • 〇〇大学建築学部建築学科卒業(20XX年3月)
  • 卒業設計で「持続可能住宅デザイン」をテーマに、地域の気候に適応した環境配慮型建築を提案
  • 〇〇大学大学院建築デザイン専攻修了(20XX年3月)

 

取得資格

 

建築設計の職務に関連する資格は、専門的な知識と技術を証明するものです。

どの資格を取得しているかを明確に記載し、それがプロジェクトにどのように役立つかを伝えると効果的です。

また、取得を目指して勉強中の資格があれば記載しておきましょう。

 

【例】

  • 一級建築士(20XX年取得)
  • 二級建築士(20XX年取得)
  • CAD利用技術者1級(20XX年取得)
  • インテリアコーディネーター資格(20XX年取得)

 

PCスキル・使用ソフト

 

建築設計職において、どのソフトを使えるかは大きなアピールポイントになります。

ソフトの使用経験を、具体的なプロジェクトやタスクに関連付けて説明するとより説得力が増すでしょう。

使用ソフトのレベル感も含めて説明すると、実務にどれだけ対応できるかが伝わります。

 

【例】

  • AutoCAD: 10年以上の使用経験、建築図面の作成・修正業務に従事
  • Revit: 5年の使用経験、BIMを活用した3Dモデルの作成
  • SketchUp: 基本設計からプレゼンテーション用の3Dパース作成に使用
  • Adobe Photoshop/Illustrator: プレゼン資料や図面のビジュアル編集に使用

 

ポートフォリオ

 

ポートフォリオは、学歴、職歴、スキルや資格を視覚的にアピールできる重要な資料です。

新卒の場合は卒業制作が中心になりますが、転職の場合は社会人になってからの実績に重きを置いて掲載するようにしましょう。

ポートフォリオはファイリングが基本ですが、オンラインで見られる場合は、そのリンクを職務経歴書に含めるのも効果的です。

 

【掲載例】

設計コンセプト、プランニング過程、図面、完成後の写真、3Dパース、手描きのスケッチ

 

自己PR

 

自己PRでは、自分の強みや、他の候補者と差別化できるポイントを強調しましょう。

建築設計の現場では多くの人と円滑にコミュニケーションを取り、プロジェクトを完成させるスキルが重視されます。

経験や資格を活かすためにも、人間としての魅力を感じてもらえるように、アピールポイントを整理してください。

 

【例文①】

「設計プロセス全体をスムーズに進行させるために、チーム内外との円滑なコミュニケーションを重視しています。

プロジェクトに関わるすべてのメンバーを尊重し、協力し合いながら建築物の完成を目指す姿勢を大切にしています。

また、技術的な知識に加え、クライアントのニーズや要望に柔軟に対応する力も強みとしており、期待に応える設計を提案・実現できる自信があります。」

 

【例文②】

「古都で育った影響から、幼少期より歴史的建物の保存や、快適な町づくりに強い関心を抱いてきました。

大学では環境デザインを専攻し、持続可能な建築設計に貢献することを目標に学びを深めました。

卒業後はBIMやCADといった最新技術を活用し、プロジェクトを効率的に管理するスキルを身につけ、設計の品質向上とともに、納期や予算を厳守することを常に心がけています。」

 

まとめ

 

建築設計職の職務経歴書作成においては、応募する企業のニーズに合わせ、具体的な業務経験やスキルを明確に伝えることが重要です。

自分の専門分野、経験、スキルを簡潔にまとめ、一読でわかりやすく説得力のある内容にすることが成功の鍵となります。

また職務経歴書を読んで「直接会って話しを聞きたい」と思わせるためには、定型文に捉われず自分の言葉で表現するよう心がけましょう。

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