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2024.10.09

建築士の平均年収はいくら?年収を上げるポイントとは

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建築士は、建物の設計や工事管理をする専門家で、社会のインフラ整備に重要な役割を果たしています。

専門的な知識と豊かな創造性が必要になる職種ですが、年収は一体どれくらいなのでしょうか?

本記事では、建築士の平均年収を解説します。

年収を上げるポイントも併せて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

資格別の平均年収

 

建築士には、木造建築士・二級建築士・一級建築士という資格があります。

まずは、これらの資格別の平均年収を見ていきましょう。

 

 

木造建築士

 

一般的に、木造建築士の平均年収は約250万から350万円です。

木造建築士の年収は、一級建築士や二級建築士と比べて低い傾向にあります。

なぜなら、設計・工事監理ができる建物が2階建てまで、延べ床面積300㎡以下の木造建築に限られるからです。

しかし、近年では古民家リノベーションを専門とする設計事務所など、木造建築のスペシャリストとして活躍する人々が増えています。

古民家の再生には一般住宅にはない高度な技術が求められ、その結果、高額な受注が見込めるケースもあるのです。

ハウスメーカーや工務店だけでなく、リノベーション企業への就職も視野に入れ、自身のスキルを活かすことで、さらなる収入アップを期待できるでしょう。

 

 

二級建築士

 

続いて、二級建築士の平均年収は約350万から500万円です。

二級建築士が設計できる建物は3階建てまでで、木造であれば延べ床面積1000㎡以下、鉄骨造などの場合は100㎡以下と制限があります。

それでも二級建築士はほぼ全ての個人住宅を設計できるため、ハウスメーカーや工務店での業務において問題はありません。

さらに、役職が付きマネジメント能力が評価されれば、上記の年収を超える昇給も期待できます。

一級建築士資格の取得には時間と労力がかかるため、二級建築士としての収入で十分と考える人も少なくありません。

自身の目指す仕事や年収によって二級建築士をキャリアの通過点とするか、最終目標とするかは個人の選択次第です。

 

 

一級建築士

 

「平成29年賃金構造基本統計調査」によると、一級建築士の平均年収は653.5万円です。

一級建築士になれば、建物の規模や構造に関係なく、全ての建築物を扱えるため、より大規模なプロジェクトに関わる機会も増えるので収入も上がります。

また、昇格基準に一級建築士の取得を設定している企業もあり、収入に直結する資格と言っても過言ではありません。

転職の際も一級建築士は求人数が多く、より好条件の企業を選択できる可能性が高まります。

 

参考:厚生労働省「平成29年賃金構造基本統計調査

 

一級建築士の収入について

 

ここからは、一級建築士の収入を以下の項目に分けて解説します。

 

  • 性別
  • 年齢
  • 経験
  • 働く施設規模

 

それでは一つずつ見ていきましょう。

 

 

性別による収入の差

 

一級建築士の男性は女性よりも、収入がやや高い傾向にあります。

男性の月収は43.2万円、年間ボーナスは135.7万円、年収は653.5万円です。

一方、女性の場合は、月収が36.3万円、年間ボーナスは125.6万円、年収は560.9万円となっています。

男性の年収が高い理由の一つに、女性の建築士が少ないことが挙げられます。

一級建築士のうち、女性は全体の13.8%しかいません。

これは、経験を積んだ年収の高い建築士が少ないことを意味しています。

女性建築士の年収が低いことを踏まえ、国土交通省は令和2年に「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画」を発表しました。

この計画は、建設業界で女性が働きやすくするための政策です。

今後、女性建築士の働く環境がより整備されると、非正規雇用が減り、収入面で男性との差が縮まっていくでしょう。

 

参考:国土交通省:「令和2年女性の定着促進に向けた建設産業行動計画

 

年齢による収入の差

 

一級建築士の平均年収のピークは、40代後半です。

20代前半の男性の平均年収は391.7万円で、30代前半は643.3万円、30代後半は663.8万円、40代前半は670万円と推移し、40代後半でピークの807.4万円に達します。

多くの建築士が40代までに豊富な実務経験を積み、高度な専門知識を身につけていることが平均年収を高める理由の一つだと考えられます。

また、40代は独立して自身の設計事務所を設立する人も多いです。

このように複数の理由が重なった結果、一級建築士は40代後半で年収がピークに達します。

 

経験による収入の差

 

続いて、経験による収入の差を見ていきましょう。

まず、月収は経験年数が増えるごとに少しずつ上昇していきます。

初年度は月収27.6万円、経験年数4年目になると30.5万円、5〜9年目で39.2万円、10〜14年目で41.6万円、そして15年目以降は少し下がり41.4万円です。

一方で年間ボーナス額は、初年度が71.4万円、経験年数4年目で120.8万円、5〜9年目で132.5万円、10〜14年目で140.9万円、15年目以降は138.7万円となっています。

月収も年間ボーナス額も、10〜14年目でピークに達するというわけです。

 

働く施設規模による収入の差

 

働く施設規模も、収入の差に影響を与えます。

会社の規模が大きくなるにつれ、平均年収や年間ボーナスは上昇する傾向があるのです。

施設規模10〜99人だと平均年収は471.1万円で年間ボーナスは107.3万円、施設規模100〜999人だと平均年収467万円、年間ボーナス143.9万円、1,000人以上だと最も高く平均年収は523.9万円、年間ボーナスは222.3万円となっています。

大規模施設では、免震構造や環境配慮型設計など特殊な技術や知識が求められることが多いです。

これらの専門性に対して高い報酬が支払われるため、年収やボーナスが高くなります。

 

建築士の年収を上げるポイント

 

最後に、建築士の年収を上げるポイントを解説します。

 

  • ゼネコンに就職する
  • 規模の大きい設計事務所に就職する
  • ハウスメーカーで実績を積む
  • 独立して設計事務所を立ち上げる

 

建築士のキャリアプランを考える際に、ぜひ参考にしてください。

 

 

ゼネコンに就職する

 

ゼネコンは、建築業界で高収入が期待できる就職先の一つです。

スーパーゼネコンと呼ばれる上位3社の平均年収は1000万円以上、中堅ゼネコンでも800万円台と全体的に高収入と言えます。

ゼネコンでは大規模建築を扱うため、設計業務は意匠設計、構造設計、設備設計と専門分野に分かれているのが特徴です。

ゼネコンへの転職を考える際は、建築士に加え「構造設計一級建築士」や「設備設計一級建築士」などの専門資格を持っていると、選択肢が広がるでしょう。

また、「ー級建築施工管理技士」の資格は大規模な現場に配置が義務付けられている監理技術者になれるため、ゼネコンへの就職が大変有利になります。

 

 

規模の大きい設計事務所に就職する

 

規模の大きい設計事務所に就職すると、安定した収入を得ながらスキルアップできるでしょう。

ゼネコンに比べ収入は少ないですが、まずは規模の大きい設計事務所でイチからスキルを高め、将来的に独立し年収を増やすという方法もあります。

 

 

ハウスメーカーで実績を積む

 

ハウスメーカー大手3社の平均年収は、約900万円です。

ハウスメーカーで働くと、規格商品を使った建売住宅の設計から始めるケースが多く、経験を積む中で注文住宅を手掛けるようになり、スキルアップが目指せます。

30代後半になると部下を持ち、複数の案件を同時進行でマネジメントする役職に就くこともあるでしょう。

そして、そのまま順調に昇進すれば40代で年収1000万円を目指せる企業です。

転職時には建築士の資格が求められることが多く、「施工管理技士」などの現場で活かせる資格があるとさらに有利になります。

 

 

独立して設計事務所を立ち上げる

 

建築士の経験を積み、独立して設計事務所を立ち上げると、売上によっては年収1000万円を超えるケースもあります。

独立自体は、一級建築士だけではなく二級建築士や木造建築士でも可能です。

ただし、二級建築士や木造建築士では取り扱える建築物の範囲が限られるため、一級建築士資格を持っている方が、より幅広い案件を手掛けられるでしょう。

また、理想の建物を実現するためには、土地探しも重要なので、宅地建物取引主任者の資格があるとクライアントに対してもアピールポイントとなります。

他にも、設計事務所には「管理建築士」の配置が義務付けられています。

専任として雇用することもできますが、建築士自身が資格を取ることも可能です。

建築士として3年以上の実務経験後に管理建築士講習を受講し修了して取得します。

いずれにせよ独立開業するには実績と資金が必要になるため、まずはハウスメーカーやゼネコンなどの勤務を通じて専門性を高めることから始めるのが大切です。

 

まとめ

 

本記事では、建築士の平均年収や年収を上げるポイントを解説しました。

建築士の年収は、資格の有無や性別、年齢、経験、働く施設規模が影響します。

また、年収を上げるためには、ゼネコンや規模の大きい設計事務所、ハウスメーカーなどで経験を積んだあとに独立開業するのがおすすめです。

ぜひ、本記事の内容を転職する際の参考にしてください。

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